第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督が5月23日に帰国し、羽田空港で凱旋会見を行った。是枝監督は「ようやく帰って来てスタッフのにこやかな顔を見ましたら、ちょっと実感が沸いてきました」とトロフィーを手に笑顔。「一晩は(トロフィーを)抱いて寝ようかな」と話して会場をわかせた。

『万引き家族』は、東京の下町を舞台に、犯罪でしかつながれなかった一家の姿を通して人と人の絆を描く人間ドラマ。日本映画がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞するのは今村昌平監督の『うなぎ』(97)以来、21年ぶりのこと。是枝監督作品としては、カンヌ映画祭への参加は7回目。コンペティション部門では『海街diary』(15)以来3年ぶり5回目の出品にして、初めてのパルムドール受賞​となった​。

会見場に是枝監督が足を踏み入れるや、たくさんのフラッシュがたかれ、まぶしそうな表情を見せた是枝監督。「ちょっと実感が沸いてきた」と笑顔を見せつつも、「公開がまだなので、宣伝活動を始めなければ。あまりゆるんだ笑顔を見せている場合でもないので、気合いを入れて公開に向けて走りたいと思います」と帰国後、さっそく気合を注入した。

カンヌの上映について「深夜の上映にも関わらず熱い拍手が沸き起こった」と振り返り、取材に来る記者たちが「タッチ」や「ラブ」という言葉を使って本作の感想を語るのを聞くにつれ、「きちんと届いたなと思った。取材の数が増えていくという状況で、いい手応えなんだなと実感してきた」という。

「パルムドール受賞の理由はなんだと思う?」と自己分析を求められると「自慢げに話していると思われるとイヤだな」と苦笑いしつつ、「審査委員長のケイト・ブランシェットさんが安藤サクラさんのお芝居について熱く語っていた。『彼女の泣くシーンのお芝居がすごくて、今後もし審査員の中でこの泣き方をしたら、安藤サクラの真似をしたと思ってください』と。それくらい審査員の女優たちを虜にしたのだなと思った」と告白。

さらに「どの瞬間もみなさんのお芝居に惚れ惚れするくらい。役者のアンサンブルがとてもうまくいった」とたたえた是枝監督。「トロフィーは本当に重い。授賞式から持ち続けて、筋肉痛が治ったのが昨日くらい」とお茶目に語り、「一晩は(トロフィーを)抱いて寝ようかな」と晴れやかな笑顔を見せていた。

『万引き家族』は6月8日(金)より公開。受賞の反響を受けて、全国300館以上での拡大公開が決定したほか、6月2日(土)、3日(日)には2日間限定での先行上映も行われる。(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)