東日本大震災で被災した岩手県大槌町で、会えなくなった人に思いを伝える「風の電話」。朝日新聞やNHKスペシャルをはじめ、数多くの媒体で取り上げられ、被災した方が訪れては、受話器を握り、心の内を語るなど、いまもなお多くの方の心を癒やす黒電話をモチーフにした映画『風の電話』が20年の初春に全国公開されることが決定した。

本作は、一人の少女が広島から故郷の岩手に帰り、「風の電話」にたどり着くまでの道程を通して、“傷ついた心の救済”と、“私たちが忘れかけている大切なもの”を探し出す。

「風の電話」は、岩手県大槌町の小高い丘の上にあり、11年に佐々木格が死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから、自宅の庭に白い電話ボックスを設置し、電話線のつながっていない黒電話を置いた。東日本大震災以降、今は会えない家族や友人に想いを伝えるため3万人にものぼる人々が訪れている。

本作でメガホンを取るのは、『M/OTHER』(99)や『ライオンは今夜死ぬ』(18)など、フランスを始め国内外で絶賛の声を浴びる諏訪敦彦が日本映画としては『H story』(03)以来、18年ぶりに監督をする。

また、主人公のハル役には、2015年からモデルとして活躍し、『少女邂逅』(17)で観客に存在感を放ったモトーラ世理奈。ハルと行動を共にする森尾役に西島秀俊、旅の途中で出会い、ハルに影響を与える重要な人物として、三浦友和、西田敏行ら豪華キャスト陣の出演が決定するなど本作をより重厚なものにする。

詳しいストーリーなどはいまだ不明だが。フランスで活躍する諏訪監督が18年ぶりに日本で監督する今作。どのような作品になっていくのか、続報を待ちたい!

●諏訪敦彦監督

「スマホを片時も手放すことができない私たちは、まるで片手の操作だけであらゆる世界に繋がっているという錯覚に陥ります。しかし、そう簡単には繋がらない人や世界というのがあることを、私たちは忘れてしまっているのかもしれません。“風の電話”は岩手県大槌町の丘にひっそりと置かれています。わかりやすい標識や、案内図はなく“さあ、自分の力でここまでやっておいで”と私たちに旅を誘っているかのようです。熊野詣での時代から、旅は生まれ変わるための再生の行為です。私たちも傷ついた主人公ハルの魂とともに、“風の電話”を目指して旅をしてみようと思います。私としては、日本を舞台にした久しぶりの撮影となりますが、その道しるべのように、素晴らしい出演者たちが参加してくれることになりました。映画はなにかを見せるものであると同時に、見えないなにかを想像させるものでもあると思います。この映画がその想像の力を快復できる旅になることを願っています」(Movie Walker・文/編集部)