アメリカのカリフォルニアに生まれながら、日本の伝統文化である尺八に魅了され、日本へ移住してしまった異色の芸術家のドキュメンタリーが公開される。尺八奏者のジョン・海山・ネプチューンを追った『海山 たけのおと』は、息子であるデビッドが父親に密着し、製管工房での日々や仲間のミュージシャンたちとの対話から、ひとりの芸術家の半生を追う。ネプチューンの奏者としての顔、尺八製管者としての顔、そして芸術を極めるために犠牲を払ったひとりの男の姿を浮き彫りにするなかで、監督を務めた息子の苦悩も見え隠れする。カリフォルニア育ちのサーファーだったネプチューンが尺八に出会い、やがて日本に移住するまでになる道のりは、まさに運命の出会いに導かれていくよう。彼の経験や言葉は、尺八という伝統や古典という言葉で語られがちな楽器に、現代的な視点を加えてくれる。

映画は日米でクラウド・ファンディングが行われ資金を調達し、約5年間の時間をかけて製作された。日本公開は10月5日から渋谷ユーロスペースにて1週間限定、その後は第35回ワルシャワ国際映画祭のコンペティション部門出品など、海外での上映も行われる。(Movie Walker・文/平井伊都子)