鵜の動きで来年の吉凶を占う石川県羽咋市・気多大社の「鵜祭」が今年もピンチに立たされています。今月16日の開催を控え、七尾市で12日までに主役となる鵜が捕獲できず、神社に鵜を運ぶ「鵜様道中」の出発が遅れています。
気多大社の「鵜祭」は1対のロウソクだけが灯された暗い境内に鵜を放ち、その動きで来年の吉凶を占う神事で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
祭りの開催に向けて七尾市鵜浦町では、8日から鵜の捕獲が始まりましたが、主役となる鵜がまだ捕獲されない状況が続いています。鵜様を入れるカゴは空のままで、12日朝から予定していた気多大社まで鵜を運ぶ「鵜様道中」が延期される事態となっています。

先祖代々、受け継がれる技法で鵜の捕獲を担うのは小西寛之さんと、5年前から捕獲を手伝う息子の達矢さん親子。早朝から日没まで「鵜捕崖(うとりがけ)」と呼ばれる海岸沿いの断崖に向かい鵜を待ち続けますが、思うように近づいてくれません。

寛之さんは原因について、「温暖化が影響しているのかな。全然12月に入っても寒くないですからね。それが影響しているのかなと思いますね」と話します。
普段はエサを追い求め海上を飛び交う鵜ですが、荒れた天候の時は断崖で羽を休めるため、絶好の捕獲チャンスとされています。しかし、最近では2019年、20年と2年連続で鵜が捕獲できず、鵜祭は中止を余儀なくされました。
捕獲のリミットが近づく中、自然環境の変化とも戦いながら、小西さん親子は捕獲作業に挑みます。