患者を診察するため、クリニックを忙しそうに動き回る医師と看護師。金沢市笠舞の小川医院では、ドライブスルーや屋外で検査を行い、殺到する発熱患者に対応していますが、駐車場で待機する車は途絶えることがありません。
MRO 石橋弘崇アナウンサー
「現在こちら病院の外、駐車場で待機している人に対して院長が対応にあたっています。午前中から慌ただしく動いています」
平日午前の診察は11時半までですが、ここ最近は午後1時ごろまで患者の対応に追われているといいます。
来院した大学生
「(コロナとインフル)両方感染しているかもという怖さがあって咳が止まらないので来院した。(大学でも)最近すごく増えているかなという感じ」
小川医院 小川滋彦 院長
「コロナも含めて今感染大爆発。家族が感染したらみんなかかる。感染力は強い」
小川医院では6日、15人の患者を検査しこのうちおよそ10人が新型コロナの陽性に。これは全数把握による石川県内の感染者数が過去最高を記録した去年8月に近い状況だと話します。さらに頭を悩ましているのは、インフルエンザなど、コロナ以外の患者の増加です。
小川医院 小川滋彦 院長
「コロナだけじゃないというのが、頭を悩ませていて。3年間マスク生活で風邪ひいてなかったのでコロナ以前にあったいろいろな感染症が猛威をふるっている。1人に対して3つの検査が必要だとかそういう状態」
小川院長はひっ迫する、現場の窮状を訴えます。
小川医院 小川滋彦 院長
「いやあもう去年よりひどい、戦争状態。でもそんなの誰も伝えてくれない。混んでいる所に行くときはマスクしていただいて…やっぱりいっぺんに外したのはまずかった」
今年5月に5類へ移行したことで感染状況が把握しにくくなった新型コロナウイルス。しかし、私たちの生活には感染拡大の確かな脅威が迫っています。

石橋アナウンサー
「さて、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられた、今年5月以降の感染者数の推移を見ていきましょう。8月28日から9月3日までの1週間に、48の定点医療機関から報告された1医療機関あたりの患者は、25・54人となりました」
兵藤遥陽アナウンサー
「こう見ると7月に入ってから急増し、高止まりが続いていますね。去年の同じ時期と比較するとどうなのでしょう?」
石橋アナウンサー
「県が全数把握での調査を行っていた去年の同じ時期の数字がこちら。7月から9月にかけては感染者が急増したいわゆる『第7波』の期間で、8月19日には1日当たりの感染者が2885人と過去最多となりました」
兵藤アナウンサー
「グラフを見ると、去年と今年に共通しているのは夏の時期の感染が増えていることですよね」
石橋アナウンサー
「そうなんです。1医療機関あたりの患者数でみても過去最高を記録した去年8月の半数近くとなっていて、概算にはなりますが、県内全体で1日あたり1400人前後の感染者が出ていたと推測できます。この状況は、今月に入っても収まりそうにありません。なかでも、新学期が始まったばかりの学校で新型コロナなどによる体調不良が相次いでいるということです」
県教育委員会などによりますと、金沢桜丘高校では今月4日、新型コロナ陽性の78人を含むおよそ200人の生徒が発熱やのどの痛みを訴え欠席。6日まで2日間、学年閉鎖や学級閉鎖の措置が取られました。金沢西高校と金沢泉丘高校でも7日まで学級閉鎖となるなど、今月に入り体調不良で欠席者が増えた学校も出てきているということです。

学校での感染拡大について金沢大学附属病院の谷内江昭宏副病院長は、「文化祭や体育祭など人が集まる場面でマスクの着用など制限が無くなったことが要因といえる」としています。こうした状況を踏まえ、咳や発熱などの症状が出た場合はマスクの着用や手洗いうがいなど基本的な対策を講じて周囲に感染を広げないことが大事だということです。感染者数の実態がつかみにくい今だからこそ、それぞれが感染対策に努めていく必要があります。