東京都の豊洲市場が開場してから、10月11日で1年となります。「豊洲ブランド」の確立に向けて新天地で営業している業者は、どのような思いでこの1年を過ごしてきたのでしょうか。取材しました。

 国内外にマグロを卸す、水産仲卸業者「石司」の3代目・篠田貴之さんは、この1年を振り返って「もう何年も豊洲にいるような気がする。豊洲に親しんでいるので『まだ1年なの?』という感じ。だいぶ前から豊洲にいたような気がしてならない」と話します。

 去年の今ごろ、篠田さんはおよそ30年間過ごしてきた築地市場での最後の営業を行っていました。1年がたち、まだ真新しさの残る店舗で思うのは、豊洲市場の最大の特長である「温度調整」、そして「衛生管理」の重要性です。築地は外壁が少なく、温度管理が難しい環境でしたが、閉鎖型の豊洲市場ではエアコンによって温度が管理され、夏場でも19℃から25℃に保つことができます。

 篠田さんは「『築地ブランド』は世界的なブランドだったが、やっていることは変わらない。むしろ衛生面は良くなっている。まだ1年なので『豊洲ブランド』はそんなに浸透していないが、これからきちんとやっていけば、将来的には豊洲ブランドは築地ブランドを上回るのではないか」と語り、長年培ってきた「築地ブランド」は「豊洲」にも根差しつつあると強調します。

 また、築地と共に発展してきた銀座に、豊洲の魚を世界に発信するすし店があります。豊洲市場で仕入れた新鮮な食材を赤酢のしゃりで握る「鮨(すし)銀座おのでら」は、日本だけでなく、ニューヨークやパリなど世界各国で13店舗を展開していて、これらの店舗でも豊洲から仕入れた魚を使用しています。坂上料理長は品質の高い豊洲の海の幸を世界中で味わってほしいと期待しています。

 築地で育まれた「都民の台所」は豊洲へと受け継がれ、世界に向けて発信されようとしています。