全国で新たに犬または猫の飼育を始めた数をコロナ前の2019年と2021年を比べると、14万2000匹ほど増えています。その一方で飼育放棄や迷子になる犬や猫も増えていて、居場所が分かるようにとマイクロチップ装着の義務化が決まりました。装着の現場を取材しました。

 飼い主の特定を進めやすくするため6月1日から改正動物愛護管理法が施行され、ペットショップや繁殖を行うブリーダーなどから購入する犬や猫へのマイクロチップの装着が義務化されました。

 マイクロチップの装着を進めている東京都内にあるペットショップの診療所を訪れてみました。マイクロチップは犬が痛みを感じにくいといわれる背中の皮膚の下に獣医師が注射器で装着し、装着そのものはあっという間に終わります。

 ペットの体への影響はないのでしょうか。獣医師の隈部のえさんは「マイクロチップは中身が金属で、外側が強化ガラスで覆われている。ガラスは異物反応やアレルギーが起きにくい素材なので、影響は低いので安心してほしい」と話します。マイクロチップは直径2ミリ・長さ1センチほどのもので、15桁の識別番号が割り振られています。専用の機器を当てると個体識別番号が分かります。識別番号には名前や連絡先などが登録されていて、国が管理するデータベースと照合でき、飼い主が分かるという仕組みです。装着の費用は動物病院などによって5000円から1万円ほどで、すでに犬や猫を飼っている人の場合は自己負担となります。しかしすでに飼っている人の場合、装着は「努力義務」となるため、強制ではありません。

 新たな制度に対し、ペットショップでも対応が進められています。都内にあるペットショップ「ペットプラス」では、ペットの購入費用などにマイクロチップ登録費用を加算して販売しています。このペットショップではマイクロチップにブリーダーの情報が登録されて販売されているため、購入者は環境省のホームページなどで自身の連絡先などを更新する手続きが必要です。購入者と販売業者それぞれが義務を果たすことで、不測の事態を防ぐ仕組みです。ペットプラス・アクアシティお台場店の浅野慎也店長は「マイクロチップを装着して、災害や逃走・盗難など予想できないことが起きた時に戻ってくる可能性が高くなるのはいいことだと思う」と話します。

 それでは、ペットを飼っている人は義務化をどう感じているのでしょうか。すでにペットを飼育している飼い主からは「チップを入れる手術で麻酔をしてペットの体に負担がかからないなら、装着してもいいと思う」「公園などで走り回っている時にリードが外れてしまうことがある。茂みに行ってしまったら怖いなとひやひやするので、あった方がいい」という意見もある一方で、「抵抗がある。13歳の高齢犬で、10歳の時に大きな手術をしているので、痛いのはかわいそう。マイクロチップは装着しなくていいかな」といった声も聞かれました。