「ウィズコロナ」の生活が日本より先行しているアメリカ・ニューヨークの街を9月中旬、東京都の小池知事が訪問しました。小池知事のアメリカ出張に同行し、ニューヨークのコロナの現状を取材しました。

 東京都の小池知事は9月15日から18日までニューヨークを訪れ、街づくりの状況やスタートアップ企業などを視察しました。

 東京からおよそ1万キロの距離にあり、人口800万人を超える大都市・ニューヨークは、これまで最大で1日4万人を超える新型コロナの感染者が確認されることもありました。それが今では、感染拡大から2年半がたち、ブロードウェーではミュージカルが再開され、多くの観光客が訪れるなど、街は日常を取り戻しつつあります。タイムズスクエア前でも、観光客の多くはすでにマスクを着けていません。街を行き交う人からも「パンデミック? 終わったよ。過ぎ去った話だ。パンデミックはもうないね」「数年前の話みたい。もうコロナのことは忘れました」「二度と繰り返されないことを祈っています。すでに新しい生活に切り替えている」「マスクは外では着けていない。僕はエンジニアで科学を信じているからね。これから映画館に行くから、その時はマスクを着ける。レストランなどはその時の状況に合わせてだね」などといった声が聞かれました。

 ニューヨークでは飲食店や映画館、劇場などではマスク着用が義務付けられていましたが、今年3月に着用義務が廃止されました。さらに今年9月からは、公共交通機関でのマスク着用を義務ではなく個人の判断としました。「ウィズコロナ」が進む都市の実情について、現地メディア・NY1のエミリー記者は「今のウイルスは重症化するものではない。街中を出歩くことにも市民の心配の意識は変わった」と話します。

 2020年のピーク時には市内で1日に700人ほどが死亡していましたが、現在では死者数が10人以下まで減っています。この状況を踏まえ、市民たちは新たな生活様式「ニューノーマル」に踏み出したとエミリー記者は分析しています。エミリー記者は「ニューノーマルに切り替えてパンデミック前とは違う新たなステージとして、会社や学校に行っている」と話します。

 現地時間の15日、ニューヨークのアダムス市長と面会した小池知事は、コロナとの共存について互いの都市の状況を意見交換し「ニューヨークではすでに多くの人が経済活動に取り組んでいる。いろいろな意味でニューヨークの先例を学んでいきたい」と語りました。

 ニューヨークは「ニューノーマル」に踏み出しました。東京都も「コロナとの共存」を打ち出して社会経済活動の再開を目指す中、今回の小池知事の視察が「ニューノーマル」への転換点となるのでしょうか。

<NYは“ノーマスク” 「コロナとの共存」目指す東京都>

 東京都は新型コロナウイルス感染症の全数把握の見直しなどを踏まえ「コロナとの共存」を打ち出しています。小池知事のニューヨーク出張に同行し、現地を取材をしたTOKYO MX都政担当・キャップの白井佑介記者による報告です。

 ニューヨークでは街中ではほとんどの人がマスクを外していて、着けている人を見つけるのが難しい状況でした。さらにレストランやコンビニの店員もマスクを着けておらず、東京では考えられない光景でした。

 小池知事の視察の時にも印象的な場面がありました。小池知事とニューヨークのアダムス市長の面会の際、東京都の職員がマスクを着けていることをニューヨークの市幹部が不思議がり、その様子を察して、東京都の職員がマスクを外すという場面がありました。現地では公務員などでもマスクを外すのが通常の行為になっていることが感じられました。

 小池知事はアダムス市長との面会の中で、互いの都市で観光策を進めていくと話しました。現状、ニューヨークの街の観光面での復活については、タイムズスクエアの前にはさまざまな国の観光客が訪れてにぎわい、レストランや観光バスにも多くの人が殺到していて、活気が戻っている様子がうかがえました。

 早稲田大学客員教授で共同通信・編集委員の太田昌克さんは、リスクとコストをどこまで社会が許容するのかというコンセンサスづくりが基盤にないとできないものだと指摘します。そして東京都や日本政府は、ニューヨークがどのようにコンセンサスを形成していったのか学ぶ必要があると解説しました。

 東京都が世界的な都市とどう足並みを合わせていくのか今後が注目されます。