AIや機械学習に取り組む企業が増加している。一言にAIといってもその幅は広いものだ。医療や交通インフラといった大規模な公益にも結びつく分野、自社の強み活かしたり、マーケティングに活かしたりとビジネスシーンでの活用から自社内のナレッジの共有、通常業務の効率化を進めてくれるものまで、人の役に立つという本来のコンピューターの使命を実践してくれそうだ。

しかし、機械学習には、学習するためのデータが必要になる。「法人」という言葉が示すようにデータにも企業ごとに個性が出てくる。セキュリティ分野の社内データの分析にも企業個性への対応が求められるように、機械学習やAIにおいても企業ごとのビッグデータの活用方法がある。前回紹介したランサムウェアの対策としてのバックアップだが、当然AI活用にも功を奏すバックアップという考え方があっても良いはずだ。AOSデータは、プレス向けの説明会で「AOSBOX Intelligent」を紹介している。

○AOSBOX Intelligentの新機能

AOSBOX Businessは、AOSデータ展開の法人向けのクラウドバックアップサービスだが2017年8月に発売予定のAOSBOX Intelligentが加わる。ここでは、AOSBOX Intelligentの新機能の検索機能を紹介しよう。バックアップが行われると、搭載AIが自動的にタグを付けていく。画像を表示したのが図1である。

画面右にタグの一覧が表示される。ここから「旅客機」を選ぶと、図2のようになる。

さらに、戦闘機で絞り込む。

従来、こういった検索は人手に頼るしかなかった。しかし、AI機能により、より素早く検索が可能になった。画像以外にも、OCR機能により、PDFやJPEGデータも全文検索の対象となった。

AOSデータでは、将来、動画も検索対象とする予定とのことである。AOSBOX Intelligentは、バックアップソリューションであるが、バックアップを有効活用することで、ビッグデータともなりうるというわけだ。手軽にAIや機械学習の効果を実践できることがよくわかる。

○まずはクラウドに上げることから

今回のツアーの最後に、AOSテクノロジーズの代表取締役・社長の佐々木隆仁氏が、ビッグデータについて述べていたので、紹介しよう。最近、耳にする言葉に第4次産業革命がある。AIやIoT、さらにビッグデータの活用により、より効率的なワークスタイルが生まれるとの考え方であるが、根本的な問題として、日本の場合、まだまだクラウドにデータが上がっていない点を指摘する。当然のことながら、クラウドの活用なしにビッグデータの活用も進まない。製造現場にいけばいくほど、クラウドやビッグデータという発想が未だに浸透していない組織も多く、ただデータを貯めているだけになってしまっているのだという。

データ活用を手軽に進める第一歩としてAOSBOXを使ってほしいと、佐々木氏は述べる。AOSBOXは、特に難しい設定や業務に支障を与えることなく、データをクラウドに集めることができる。ややもすると言葉が先行しがちなAIというキーワード。クラウドにあげただけで、人工知能を活用しようと言ってもイメージはわかないだろう。そこで、AOSBOX Intelligentの新機能が意味を持つ。AOSBOX Intelligentでは、将来、音声や動画データもインテリジェントな検索が可能になる。シンプルな組織内でのデータ活用がグッと時間を縮めてくれるに違いない。

さらにAI機能と組み合わせることで、今までではできなかった、動画台詞検索なども可能になる。具体的には、新たな仕事を行うまえに、過去の音声や動画データを見て、関連するシーンをピックアップし、準備や対策を行うこともできるだろう。こういった利用方法を実際に体験することで、ビッグデータの意味や価値を見出すことが可能になるのだ。

次の段階では、APIを公開する予定だという。APIを使うことで、さまざま企業やベンダーが、ビッグデータからデータを取り出しやすくなる。たとえば、AOSでは、動画からテキストに落とすところまでを担当する。そして、その動画を何に使うかは、人や目的によってによって異なるだろう。そのニーズのすべてをAOSが担うことはできない。それぞれの企業で必要なことを、自前で開発可能となる。AOSは、インフラ、プラットフォームを提供することが役割であると述べた。そして、そういうエコシステムを日本でどう作りあげていくか、とても重要なテーマではないかと思うと語った。

グループ内にフォレンジックやリーガルテックなど法務部門のITを推進する企業AOSリーガルテックを有するAOS。ビッグデータの保存先への課題にも言及している。事件・問題が発生すれば、政府・捜査当局の検閲が入ることもある。これを避けることはできない。さらに、検閲されたデータが、その国の企業に流出する可能性も否定できない。自国に有利になるよう、意図的に流出をすることも懸念される。データが重要なことは、間違いない。では、誰がそのデータを本気で預かるのか。そこを考えない限り、勝ち目はないと佐々木氏はデータ戦略の重要性を述べていた。