月食、ルナー・エクリプス。それは、だれもがよくわかり、一番カンタンに観察できる天文ショーでございます。2017年は8月7日の深夜(日付では8日)に部分月食がおこり、日本全国で見られます。今回は、この月食の楽しみ方をご紹介しましょー。いや、日付8月8日の午前3時台に月みりゃいいだけなんでございますが、ま、子供の夏休みですし、自由研究にしやすいようチョットトッピングいたしますよー。

はい、ということで月食です。月食は「満月。なのに、月が欠ける」天文イベントでございます。通常、月は満ち欠けに1か月を要しますが、月食のときはわずか数時間。欠ける原理が違うからですが、通常の3倍どころか、30倍以上のスピードでございますな。

月食は、めずらしいイベントでもあります。

まず、満月のときにしか起こりません。満月はおおむね1か月に1回、年に12〜13回ありますが、月食になるのはそのうちの2〜4回です。さらに特定の場所、たとえば「東京で」とか限定すると、さらに減って年に0〜3回になります。日本では、昨年2016年は月食がない年でした。今年2017年は1回、2018年と2019年は2回、2020年は0回でございます。国立天文台がリストにしていますので、ごらんくださいませ。

○おっと、今回の、月食の観察方法を紹介し忘れるところでしたー。

一番重要なのは、観察時間です。これをずらすと、逆立ちしても月食は見られません。

はじまり:8月7日2時22分(これまではまん丸の満月)
一番欠ける:同3時21分(月食の最大。月の4分の1が欠ける)
おわり:同4時19分(これ以降はまん丸の満月)

ざっくりいうと、8月7日から夜更かしして、日付が変わった「8月8日の早朝3時ごろ」に月をみれば、「満月なのに欠けている月」を見ることができるってわけですな。

○見え方は? 欠けるフチはちょっとぼやける −自由研究ならそこがポイント−

はい、上に書いたように3時21分に、月食の最大で、月の4分の1が欠けるとあります。

こんな感じです。

えー、欠けるんだけど、フチがちょっとぼやけた感じになっていますねー。これがポイントで、実は時間よりちょっと早く、このぼやけた感じがはじまるんですね。終わるほうもおわりで、スパッとおわりません。

観察する条件、空のスッキリ度具合などや、観察する人の目によってそれは変わります。まあ、欠けはじめや終わりの時間が人によって違って感じるんですなー。

そんなあたりを調べると、自由研究のネタになります。写真やビデオと自分の目を見比べてもいいし、だれか知り合いと比べてもいいんですな。

○場所などのコツは?

月を見るだけなので、特に道具はなくても楽しめます。場所も、月さえ見えればどこでもいいです。南西方向に見えるので、そちらの近くに「非常に高いビル」や山などがなければ大丈夫でございます。
まあ、真夜中ですし、ボーッと見ていて、クルマにはねられたり、熊に襲われたりしてもイヤですから。安全にはくれぐれも気をつけてくださいませ。

○道具は、やっぱいらないのか?

道具については、あえていえば、双眼鏡があると欠けている様子がよりよく見られます。

また、望遠レンズがついたカメラ(ズームでもOK)があると、写真撮影もできますね。1分ごととか3分ごとと決めて連続写真をとると、変化が楽しめます。

もうちょっといえば、GoPROのようなアクションカメラなどでも撮影できますので、タイムラプスにしてもよいですね。2時間かかる現象なので、リアルタイムのムービーにはちょっと向いてません。生中継して遊ぶんならええですけどねー。

○月食はなぜ起きるか? 絵を描いて考えよー

月食は、「地球の影が月にかかる」ことで起こります。まん丸の満月が地球を回るうちに、地球の影のなかに突入するんですな。

というと、えっ? ふだんの満ち欠けもそうなんじゃ!? という人が結構いるのでございます。ところが、そういうみなさんも、「月は地球のまわりを回っている」とキチンと理解しているのです。そこで図を描くと納得しやすくなるのです。

1. まず、地球の影を考えてみましょー

下の図のように、太陽の反対、宇宙空間に細ーく、影がのびる。はい、これはよろしいですねー。

2. 次に、月の動きかたを図に加えましょー

「月は地球のまわりを回っている」わけです。その経路−軌道ですな−を書き加えてみます。

月食が起こる位置は、月が1周するなかで、本当にちょっとの間ですな。

3. さらに、マジメな割合で図を描くと

太陽が近すぎますし、地球も月も図はでかすぎです。わかりやすいようにデフォルメしているんでございますよ。マジメに描くとこうなります。月の大きさは、軌道の線のはばになってしまいます。月食が起きるのがなかなか難しいのがわかりますねー。

それでも年に2回とか月食が起こるのは、月のまわる軌道の面と地球が太陽をまわる面がごくごく、一致しているからです。

○ところで、こんな説明をすると…地球をまわる人工衛星も「月食状態」になるのかな?

ということになりますね? はい、なるんですよー。

人工衛星のほとんどは、地表高度500kmとかです。直径が1.3万kmの地球と比較して図をまたマジメに描くと、はー、軌道の半分ちかくは月食状態なんでございますね。太陽電池が発電できないわけで、一周はまあ90分間とかですが30分以上は発電できないのをもたせないといけないわけでございます。

人工衛星は数千機が周回していますので、しょっちゅうこの「人工衛星の月食」は起こっています。静止衛星は、高度が36000kmと、地球の直径の3倍ほど離れていますが、やはりおきるときは起きるのですね。放送衛星や気象衛星などうち、静止衛星は赤道の上空にありますので、太陽光線が赤道の真上からふりそそぐ、春分と秋分のころにこれがおこります。しかも結構時間が長い。そこで、衛星がお休みするなんてことがかつてはありました。最近はこれをふせぐために、バッテリーでもたしたりしていますし、気象衛星などは食の明けが太陽光直撃(ちょうど、初代のガンダムのオープニングっぽく…すみません)になるので工夫したりしています。

ということで、月食、晴れればいいですねー。そうでなくとも、天文クラスタなみなさんが、8月8日の夜明け前から画像をSNSに投下しまくると思いますので、あー、寝ている間に月食だったんだーとか、いろいろお楽しみくださいませ。

なお、今後の月食ですが、日本では、来年は2回ありまして、2018年1月31日(皆既月食)と7月28日(皆既月食・明け方)でございます。はい。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。