大阪市立大学は、同大学医学研究科 癌分子病態制御学・腫瘍外科学・難治がん TR センター副センター長の八代正和准教授、三木友一朗氏、腫瘍外科学の大平雅一教授、診断病理学の大澤政彦教授らの研究グループが、胃がん患者に高頻度で再発する腹膜転移を対象とする術中診断法を開発したことを発表した。この成果は7月21日、国際学術誌「Surgical Oncology」にオンライン掲載された。

胃癌の術後転移再発で最も頻度が高いのは腹膜転移で、胃癌患者の生命予後に関わる。一旦再発が起こると完全に治すことは難しいため、腹膜転移は胃癌対策の重要課題とされてきたが、いまだ有効な予防法や治療法がない。 胃癌術後腹膜転移再発対策には腹膜転移リスク患者を同定して予防的治療を行うことが重要で、腹膜再発リスク患者の診断感度をあげる検査法が求められていた。

今回、研究グループは、漿膜面に癌細胞が露出している状況を漿膜捺印細胞診および漿膜擦過細胞 遺伝子増幅を用いて診断することに成功し、その診断結果と術後再発との関連性を明らかにした。この手法は、がんの切除手術中に腹膜転移の可能性が高いかどうかを病理診断することで、結果が陽性の場合には、当該手術中に抗がん剤を投与することや、腹腔内大量洗浄を行うなどの術中再発防止策をとることを可能とするものだ。

同技術の意義は、手術中に胃癌患者の術後再発を高感度に予測できることにある。胃癌のみならず膵癌、卵巣癌などにも適応可能で、手術中にリスク患者を判定出来るため、手術中にしか出来ない腹膜再発予防治療を行える。この診断法に基づいた腹膜再発予防対策治療を、2017年4月より大阪市立大学附属病院および大阪市立総合医療センターにおいて、胃癌手術中の判定に基づいて術中に腹膜再発予防的治療を行う臨床試験を開始しているということだ。