東京工科大学は、がんのバイオマーカーであるゲノムのメチル化レベルを、簡便かつ正確に測定できる方法を開発したと発表した。

同研究は、東京工科大学応用生物学部の吉田亘助教、軽部征夫教授らの研究グループによるもので、同研究成果は、7月28日に科学誌「Analytica Chimica Acta」オンライン版に掲載された。

DNAメチル化は、CpG(シトシン・グアニン)配列中のシトシンがメチル化される反応で、がん細胞ではゲノム全体のメチル化レベルが低下することから、これらはがんのバイオマーカーとして期待されている。同研究グループはこれまでに、メチル化CpGに結合するタンパク質とルシフェラーセ?(ルシフェリンとATP存在下て?発光反応を触媒するタンハ?ク質)の融合タンパク質を用い、試薬を混合するだけでゲノムのメチル化CpGを光学的に測定できる方法を開発している。同手法では、メチル化レベルを決定する過程で測定値を校正する必要があったが、同研究はこの操作を簡略化するため、これと同一のプラットフォームで、非メチル化CpGを測定する方法の開発に取り組んだ。

これまでの研究で、同融合タンパク質がメチル化CpGに結合して発光すると、ゲノムDNAに結合させておいた色素が蛍光を発することを確認している。そこで同研究では、非メチル化CpGに結合するタンパク質(MLL CXXC domain)とルシフェラーゼを融合させた人工タンパク質を開発することで、同様の原理でゲノムの非メチル化CpGを測定できると想定。実際にこの人工タンパク質を合成し、ゲノムDNAに加えた結果、ゲノムDNAの非メチル化CpG量に依存して、蛍光色素の蛍光強度が増加することが示された。また、メチル化CpG測定法により得られた蛍光強度と、非メチル化CpG測定法により得られた蛍光強度は負に相関することを示した。この2つの方法により得られた蛍光強度の比を計算することで、ゲノムDNAのメチル化レベルを簡便に定量できることを確認したということだ。

同手法により、測定値の校正操作が簡略化され、試薬を混合するだけでゲノムのメチル化レベルを測定することが可能となった。今後、この蛍光色素の蛍光強度を簡便に測定できる小型機器を開発することで、いつでもどこでもがん診断ができることが期待される。