国立がん研究センターは、希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」を開始したと発表した。

希少がんは、一つひとつのがんの患者数が少なく、まとまった診療データが存在しないことが研究開発や臨床試験の実施を困難にしている。同プロジェクトは、この世界共通の課題に国立がん研究センターと製薬企業が共同で取り組み、希少がんにおけるゲノム医療の推進を目指す試みとなる。

同プロジェクトは、大きく2つの取り組みで構成されている。1つは、希少がん患者の遺伝子情報や診療情報、予後データなどを網羅的に収集し、研究の基礎データとなる大規模なデータベースを構築するレジストリ研究。得られたデータは参加企業にも共有され、バイオメーカー探索や薬剤開発に用いられるという。

もう1つは、バスケット型デザインと呼ばれる臨床試験の実施。この臨床試験は、がん種を限定せず特定のバイオマーカー(遺伝子異常・タンパク発現など)を有する患者集団に対して、そのバイオマーカーに適した薬剤を用いるもので、医師主導治験または企業治験で実施する。同プロジェクトの意義に賛同した11社の製薬企業より治験薬と共同研究費の提供を受け、プロジェクトを推進していく。

なお、レジストリ研究は2017年5月より開始しており、年間100例の登録と今秋からの臨床試験の実施を目指して準備を進めているとのこと。今後は、西日本の研究施設として京都大学医学部附属病院とも協力し、国内での実施体制の拡大も図っていくとしている。