●nuroモバイルの新サービス
日に日に競争が激しくなるMVNO市場では、多くの事業者がNTTドコモの帯域を借りてサービスを提供する性質上、他とは違う個性を打ち出すことが求められている。ソニーネットワークコミュニケーションズによる「nuroモバイル」は8月1日に発表会を開催し、これまでのMVNOにはない「データ前借り」や「深夜割」という個性的なプランを打ち出してきた。

○「データ前借り」や「深夜割」が面白い

nuroモバイルが国内MVNO初とうたうのが、「データ前借り」だ。翌月分のデータ容量を前借りして利用できるサービスになる。余ったデータを翌月に繰り越す仕組みには多くの事業者が対応しているが、前借りというのは前代未聞だ。

nuroモバイル事業を統括するビジネス開発部 部長の細井邦俊氏によれば、29日や30日など月末になるとデータ容量が足りなくなるユーザーが増えるという。若者の間では「ギガが足りない」と呼ばれる現象だが、スマホユーザーなら誰しも似たような経験があるはずだ。

多くの事業者は、こうした場合にデータの追加購入を勧めてくる。だが、数日程度なら低速のまま我慢するユーザーも多いという。それならば、翌月から少しだけ前借りできるようにする、というのは面白いアイデアだ。

もうひとつの新サービスが「深夜割プラン」だ。深夜1時から6時という5時間に渡って、データ容量の制限なく高速通信を利用できるサービスを月額1,500円で提供する。

ライフスタイルの多様化に伴い、夜勤などで深夜のスマホ需要が増えていることにnuroモバイルは注目した。深夜以外の時間帯は200kbpsの低速通信になってしまうとはいえ、他のSIMカードと併用したいユーザーにも訴求しそうだ。

●シンプルに徹したサービス
○シンプルのまま個性的なサービスを目指す

一方で、nuroモバイルはソニーグループでありながら、あまりソニーブランドを前面に押し出していないのが特徴だ。

親会社のソニーモバイルが手がける「Xperia」シリーズや、インターネットプロバイダーの「So-net」など、消費者に馴染みのあるブランドとは距離を置いている。むしろ雑誌の付録としてSIMカードを配った「0 SIM」の提供元として、リテラシーの高いユーザーによく知られている存在だ。

そのサービスの特徴は、シンプルに徹しているところにある。料金プランはデータ容量が1GB増えるごとに200円ずつ高くなる段階制で、音声は700円、SMSは150円。足し算ですぐに月額料金が分かる「明朗会計」だ。

逆に、至れり尽くせりの部分もある。データ容量については、繰り越しや追加購入、ユーザー同士でのギフト機能に加え、新たに「前借り」にも対応した。スマホネイティブの若者など、仮想通貨のようにデータ容量をやりくりする層には確実に「刺さる」サービスだ。

深夜割も、MVNOの仕組みとして理にかなっている。スマホ利用のピークは、昼休みや朝夕の通勤時間帯、夜10時過ぎの就寝前の時間帯にある。逆に深夜は利用者が少なく、MVNOにとっても帯域が余りがちになるため、もっと利用を増やしたい時間帯というわけだ。

注目すべきは、サービスを充実させつつもシンプルを維持している点だ。これに対して大手キャリアは、多様なユーザーの要望に応えてきた結果、複雑化の一途をたどっている。nuroモバイルはそのバランスを見極めることで、ひと味違うMVNOとして生き残りを図っている。