新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月3日、首都高技術、産業技術総合研究所(産総研)、東北大学の3者が進めてきた研究プロジェクトの成果として、人工知能技術(AI)を活用することで、表面に汚れや傷がある状態でも、幅0.2mm以上のコンクリートのひび割れを、80%以上の精度で検出できるシステムを開発したことを発表した。

高度経済成長期を中心に作られた日本の高速道路や橋は、建設から50年以上を経て老朽化が進んできており、将来にわたって、それらを活用してくためには、継続したメンテナンスを行っていくことの必要性が高まっている。しかし、その一方、公共投資の減少や建設系技術者・作業者の高齢化などに伴う人手不足が生じているほか、従来から、ひび割れを検知技術する技術はあったが、橋やトンネルといったコンクリート構造物の表面状態が、傷や汚れ、湿潤などの影響を受けていることに起因して、誤検知が多く、その精度が12%程度という実用化に向かないレベルであるという課題があり、そうした課題の解決に向けて、省人化、省力化、低コスト化、高精度化を実現する新たな方法によるひび割れ検出の開発が求められていた。

今回の研究プロジェクトは、ひび割れの検出精度向上を目指したもので、ひび割れに特有の特徴パターンを効率よく検出する画像解析技術と、特徴パターンを高精度に識別するAI技術を組み合わせることで、機械学習型のひび割れ検出システムを構築。実用化の目安となる80%以上(実験では81%)の精度でひび割れを検出することに成功したとする。

また、研究プロジェクトでは、同技術をクラウド上に構築したシステムに実装することを進めており、作業現場でスマートフォンをはじめとする携帯端末を介して、リアルタイムでひび割れを検知することが可能となるといったサービスも展開。NEDOでは、「ひび割れ検出Webサービス」というWebサイトを近々にも公開する予定で、公開当初はひび割れの自動検出機能のみだが、近日中に検出データから自動的にCAD化する機能も搭載するとしており、プロジェクト期間中(2018年度末を予定)までは無料公開する予定で、これにより、利用結果などの調査を行い、活用の度合いなどを見極めていきたいとしている。

今回のひび割れ検知技術の提供により、これまで2名以上の作業員が現場に赴き、1人が対象のひび割れの確認・撮影、もう1人がその情報を野帳に書き込み、事務所に戻った後に、野帳の書き込みを元にひび割れ状況をCAD化していく、といった作業が、デジタルカメラなどでひび割れを撮影し、それをWebベースのひび割れ判別の実施、そして自動でのCAD化、といった手順に変えることが可能となることから、野帳への書き込み時間、CAD化の時間の削減が図られることとなる。

なお、プロジェクトとしても今後、実際に首都高速道路をはじめとするコンクリート構造物に対する実証実験をプロジェクト終了予定の2018年度末まで進めつつ、2019年のシステム実用化を実現したいとしており、これにより作業員による点検作業時間を従来の300分から1/10となる30分へと短縮させることを目指すとしている。