大阪大学大学院大阪大学、金沢大学浜松医科大学千葉大学福井大学の5大学連合大学院である「連合小児発達学研究科」の谷池雅子教授らによる研究グループは、幼児の眠りの問題に特化し、専門家に相談したり指導を受けたりできるアプリ「ねんねナビ」を開発したことを発表した。

日本では睡眠時間を削って勉強したり働いたりするなど、眠りを軽視する傾向があり、特に乳児〜高校生の「子どもの睡眠時間」の短さは世界に類を見ないほどである。しかし、幼少期の眠りは発達に大変重要で、睡眠不足は注意欠如や多動症の危険因子であるということが明らかになってきた。

子どもの眠りに関する問題は潜在的に40〜50%にのぼると言われるが、専門家に相談する程の深刻な問題と捉えられることはなく放置されており、相談する場所や時間は限られている。また、共働き家庭や核家族の増加など生活スタイルの変化により、保護者の生活習慣を変える余裕は少なくなっており、保護者の視点に立ったスモールステップでのアドバイスや励ましが必要である。

そこで研究グループは、臨床で蓄積したノウハウを生かし、睡眠習慣の改善を目指すアプリ「ねんねナビ」を開発した。同アプリは、幼児の睡眠習慣に対し、小児睡眠に携わってきた専門家が個別に助言するほか、必要に応じて実際の睡眠のデータ(活動量計)とも連携できる。

自治体での実装の前段階として、大阪大学内でリクルートした10組の親子(子どもの年齢:1歳半〜2歳4ヶ月)にアプリを試行したところ、保護者へのたった1回の指導で子ども自ら寝室に向かうようになるなど、すべての子どもの眠りに何らかの改善が認められたという。そこで秋から、東大阪市の保健センターにて社会実証を開始するという。具体的には、1歳6か月児健康診査に来所した幼児で、就寝時刻が遅いまたは睡眠時間が短い子どもの保護者に、1年間の研究協力を依頼するということだ。

また、研究グループは同アプリによって、保護者がスマホを用いてスモールステップでのアドバイスを繰り返し受けることで、子どもの眠りの習慣が改善され、早寝早起きや睡眠時間の十分な確保によって機嫌よく過ごしやすくなると保護者の育児ストレスは軽減し、子どもの健やかな発達がサポートされる。それに伴い、子どもの多動・衝動性の発現が抑制され、生まれ持った潜在能力を十分に発揮する大人への成長が期待できるとしている。

なお、現状では同アプリは研究段階のため指導はマニュアルで行っているが、将来的には機械学習を採用することで多人数に同時に対応することが可能となる。これにより、自治体での睡眠啓発・指導に多大な力を発揮することが期待されると説明している。