「2035年までに1兆個のIoTチップを供給する」。 これはソフトバンクが示すIoT戦略の1つだ。同社の今井康之 代表取締役副社長は12月28日、Arm主催のテクノロジー・カンファレンス「arm Tech Symposia 2017」において、ソフトバンクが実施しているIoT事例とともに、今後の戦略を語った。

携帯キャリアとして有名なソフトバンクであるが、「10兆円ファンド」とも呼ばれる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を中心に、世界のさまざまな企業へ出資を行っている。同社が3.3兆円をかけて英半導体設計大手のArmを買収したのは2016年。すでに、これまでの20年間でArmが提供してきたチップと同数程度の受注があるという。

「IoT」といえば、今や耳にしない日はないほどに浸透しつつある言葉であるが、同社ではどのような取り組みを行っているのか。今井氏は同社の取り組み事例を紹介した。

まず紹介されたのは、ソフトバンクと日建設計のIoT利用のビル設計開発に向けた取り組み。オフィスビルにおける運用費が建設費の5倍かかるという不動産業界の課題の解決を目指したものだ。

「例えば100億円のビルを建設した場合、対応年数で言うと5倍近くの維持費がかかる。つまり、100億円のビルでは、500億円近くの費用がかかることになる。これを、最初の段階から、コストダウンができるような(IoT技術を用いた)保守管理方法を検討することで、運用費を約40% 削減できると想定している」と同氏。コストがかかるのは主に、清掃・警備・設備管理などの、人が必要な分野であるといい、それらをAI・ロボット・IoT技術によって代替していくことで、コストの削減を図るという。

加えて、京都府との地域の活性化を目指して行われている「スマートシティ化促進プロジェクト」も紹介された。同氏は「2020年、約4000万人の観光客が京都へ訪れるといわれている。村田製作所と協力して発足した本プロジェクトでは、京都府内の人の流動データを集計し、可視化することで、観光客へ渋滞を避けたルートを提案する」と説明する。

そのほか、来たる5G時代に向けて「5Gの低遅延性・高速性を活かし、トラックの隊列走行や、4K/8KのVR配信、建機の遠隔操作などの実証を繰り返し行っていく予定」だとし、「今後はArmのデバイスやネットワーク、ソフトバンクのもつプラットフォームを活用し、IoTソリューションをワンストップで提供してくことで、ビジネスを『共に創る』パートナー企業を目指す」と締めた。