●マック対ケンタのチキンレース勃発かと思いきや…
今日から25日までの3日間、日本マクドナルドがチキンマックナゲットのキャンペーンを展開する。30個で750円という特別価格を設定し、季節の需要を取り込もうという戦略だが、クリスマスのチキンといえば“巨人”ケンタッキーの独壇場のようなイメージがあるので、その勝敗が気になるところだ。

○30個で750円の特別価格を設定、ソースの味も充実

今回の「チキンマックナゲット クリスマスキャンペーン」に先立つ12月6日に、「怪盗ナゲッツ」から挑戦状が届き、チキンマックナゲットに新ソース2種が期間限定で登場したことはご存知だろうか。その2種とは、「夢のオマールエビソース」と「贅沢チーズフォンデュソース」だ。

怪盗ナゲッツが出現した12月6日からは、ナゲット15個を30%オフの特別価格390円(通常価格570円)で提供するキャンペーンを展開していたマック。ベースとなる価格の5個200円よりもはるかにお得度は高いし、15個につき新味も含め3種類のソースを選べることも特徴となっている。クリスマスにはさらに値引きし、30個を750円(通常価格1,140円)で提供しようというのが今回のキャンペーンだ。

○ケンタとの全面戦争は回避? ポイントは期間の設定

気になるのは、クリスマスにチキンレースを仕掛けても、ケンタッキーフライドチキンに対しては分が悪いのではないかということ。そんな疑問を持ちつつ日本マクドナルド・ナショナルマーケティング部統括マネージャーの坂下真実氏に話を聞くと、ケンタッキーとのガチンコ勝負について、そこまで心配はしていない様子だった。注目すべきは、今回のキャンペーンが3日間の期間限定となっている点だ。

「クリスマスは今、3日間あります」。坂下氏によれば、クリスマスは“イブイブ”から楽しむことが一般化してきているため、マックとしては、そのうちの1度でも、ナゲットを買ってもらえればという構えでいるそうだ。

クリスマス商戦は24日をターゲットとすることが多いが、クリスマスディナーが3回あるのであれば、そのうちの1回は、カジュアルにナゲットを楽しんでもらいたいというのがマックの考えだ。そんな意図もあって、新たに登場させた2種類のソースはクリスマスディナーを想起させる味付けにしているらしい。マックは「ナゲットパーティー」(ナゲパ)という言葉も使用してクリスマス需要の掘り起こしを図っている。

●大量のナゲットを“味変”で楽しませるマック
○新ソースは大人の味、ナゲットの対象年齢に広がり

商品的には何も目新しいことはしていない、今回のチキンマックナゲット。クリスマスキャンペーンは特別価格で販売するという期間限定の価格戦略だ。価格だけでは訴求力が不足しているかもしれないが、より消費者の目を集めるための仕掛けが新しいソースの存在ではないだろうか。

風味豊かなオマールエビエキスが入ったマヨネーズベースのまろやかソースが「夢のオマールエビソース」。隠し味のワインが効いたコクのある贅沢なチーズの味わいに仕上がっているのが「贅沢チーズフォンデュソース」だ。ソースを使い分けることにより、同じナゲットが大人用にも子供用にも変化する。つまり、ナゲットの“味変(あじへん)”は商品の対象年齢を拡大する手段にもなるのだ。

○ナゲットはシェアして食べるものに?

クリスマスキャンペーンに先立つ12月6日からの値引きも、今回の取り組みの助走としての意味を持つ。ただ単に、クリスマス商戦に値引きキャンペーンを設定しても、季節的に、一過性の話題にしかならなかったかもしれない。先行して15個セットのキャンペーンを打ち出すことで、「1人で食べるおやつ」というイメージのあるナゲットの存在を、「家族で、友達で、皆で食べるナゲット」という存在に引き上げることに成功したのではないだろうか。

鍋の例でいえば、やはり1人鍋よりは、家族や仲間とつつく鍋の方が、具材の種類や量を増やすことができるし、大勢で楽しく食べることができる。サイズ的にもナゲットは、1人何個という食べ方ではなく、思い思いにつまんで食べるものだと思う。ナゲットの数が多く、ソースの種類も多彩であれば、食べる楽しみも大きくなることだろう。

●コンビニも参戦で激しさを増すチキン戦争
○おみやげにナゲット? 意外な需要

マクドナルドによるナゲットの販売分析によると、実は夜のニーズも高いというデータがあるそうだ。日中に子供たちが食べる「おやつ需要」が最も高いと思っていたのだが、そうでもないらしい。

仕事帰りの父親が、(自分の晩酌用も含めて)家族用としてナゲットを購入しているケースもあるとマックは分析する。そうであるならば、ナゲットの役割は大きく広がる。家族でナゲットを囲んで、自分好みのソースをつけて食べる。「個食」がトレンドワードとなっている中で、ナゲットは新たなニーズを開拓する力を備えているのかもしれない。

○クリスマスチキン戦争を制する者は

クリスマスのチキンも、今や選択肢は豊富に存在する。コンビニはチキンの味を競い、価格だけでなく品質でも消費者の選択肢に残ろうと必死の戦いを繰り広げている。

そして、クリスマスの食卓で長年にわたり王座を防衛し続けているケンタッキーフライドチキンは、今だに存在感を放ち続けている。ケンタッキーのチキンは、自宅では再現できない独特の味わいだ。

それでも苦戦を強いられるほど、充実してきているのが昨今のチキン市場だと感じる。コンビニも中食需要の取り込み拡大に向け、数字を確実に確保できる商品の開発に力を入れている。イートインを見据えた店舗改装をコンビニは加速している。持ち帰るまでの間に冷めることなく、温かいうちに食べてほしいという機会の創出と、誰かが近くにいるという“ぼっち食”では感じられない「ぬくもり」も併せて提供している。

選択肢が増えるということは、消費者にとって喜ばしい限りだ。作り手は選ばれるための価値を創造し、消費者にアピールする機会を公平に保有している。チキン戦争の勝者は誰か、という興味よりも、消費者がおいしいチキンとともに心豊かに過ごす3日間となるよう、マクドナルド含め各企業が応援して欲しいと願っている。