日本でも販売が好調な「Galaxy S8/S8+」は一見しただけでも従来のスマートフォンとは異なる本体形状を持った製品だ。どちらのモデルも18.5:9という、より縦長なアスペクト比を持ったディスプレイを搭載しているのである。ほぼ全てのスマートフォンはディスプレイの縦横比が16:9という、いわゆるワイドサイズのものを搭載している中、なぜこの2つのモデルは18.5:9という特殊な比率のディスプレイを採用しているのだろうか?

実は類似した縦長ディスプレイを採用したモデルは他社からも発売になっている。LGが海外で販売しているフラッグシップモデル「G6」「G6+」は18:9と、同様に縦に長いディスプレイを採用しているのだ。LGはさらにこの7月、「Q6」「Q6+」「Q6α」とミッドレンジの新型モデルを発表。この3機種も18:9のディスプレイを搭載しているのだ。

縦長ディスプレイには様々な利点があるが、16:9のディスプレイに対して以下の点が優れている。
1.本体形状---スリム化が可能
2.操作性---2分割画面が使いやすい
3.表示性---コンテンツ表示もみやすい

まずは同じディスプレイサイズに対して、横幅を狭くすることができるのだ。たとえばGalaxy S8のディスプレイは5.8インチと、一般的なスマートフォンと比べるとかなり大きい。ところが本体の横幅は68.1mmで、片手でも十分握ることのできるサイズなのである。16:9のディスプレイを搭載する他社のスマートフォン、例えば4.7インチとGalaxy S8より1インチ以上も小さいディスプレイのiPhone 7の横幅は67.1mmと、1mmしか変わらない。縦長ディスプレイにするだけで、画面の大きさを1インチ以上も大きくできるのだ。

また操作性の点でも縦長ディスプレイは有利になる。AndroidスマートフォンはOSバージョン7.0から画面を2つに分割して表示することが可能になった。スマートフォンを使いながら、上半分の画面に地図を表示しながら、下半分の画面でレストランを検索する、なんて使い方もできるようになったのだ。

しかし一般的な16:9のディスプレイでは、2分割されたそれぞれの画面サイズは狭く、あまり見やすいものではない。しかも下側の分割画面で文字入力をしようとすると、ソフトウェアキーボードが画面に広がり、上の分割画面を押し出してしまうように隠してしまう。つまり2つの画面を見ながら文字を打つことは困難なのだ。これに対して18.5:9や18:9の画面ならば、下半分のSNSのチャット画面で文字を打ちながら、上半分で動画を見る、なんてこともできるのである。

さらにはシネマサイズの映画を見るときなども、縦長ディスプレイは利点がある。映画館で見る映画のサイズは約21:9と横方向にかなりワイドだ。縦長ディスプレイのスマートフォンをそのまま横向きにすれば、上下に若干の余白が出るものの横ワイドのコンテンツも見やすいのだ。

そしてSNSでチャットをするときやタイムラインを見るときも、縦長であればより多くの情報を表示することが出来る。SNSは画面をスクロールして見ることが一般的だが、その頻度を減らすことができるというわけだ。最近のSNSはタイムライン上に動画が表示されるようになっているが、その動画を見ながら前後の会話を追いかけるのも縦長画面なら楽にできる。

このように縦と横の比率がワイドになったディスプレイは、今の時代のスマートフォンの使い方に適した形状だと考えられる。しかもこのディスプレイの搭載を真っ先に決めたこの2社は、スマートフォンだけではなくグループ会社でディスプレイも製造している。つまり縦長ディスプレイは今後他社にも積極的に販売が行われ、採用するメーカーが今後増えると予想される。

ネット上の噂ではソニーの次期Xperiaが18:9を採用するとも囁かれている。そのディスプレイのメーカーは日本のJDI製とも言われている。大手2つのディスプレイメーカーに続き、JDIも縦長ディスプレイに参入するとなると、各スマートフォンメーカーでの採用はさらに進むことになるかもしれない。またiPhoneの次期モデルにも18.5:9のディスプレイが一部モデルで採用される見込みとも噂されている。

今後縦長ディスプレイが主流になれば、待ち受け画面に表示できるアプリアイコンやウィジェットの数が増えるだけではなく、画面の一番上の部分にSNSのタイムラインの最新情報を流すといった、今までには無い使い方ができるようにもなるだろう。画面サイズの変更はOSやサービスに新たな機能を追加する機会を与えるかもしれないのだ。

縦長ディスプレイはこれまでのスマートフォンには無い新しいユーザー体験を提供するものになる。すでに日本で販売されているGalaxy S8を実際に店頭で触ってみて、次世代のスマートフォンを体験してみてはいかがだろうか?