9.7インチiPad Proが発売されてから1年ちょっと。現役期間の長いiPadとしては珍しく短期間でリニューアルされ、10.5インチiPad Proが登場した。メジャーともマイナーとも言いづらい微妙なアップデートでありながら、9.7インチをアクセサリごとバッサリ切り落としてその座に置き換えられた格好だ。

これを悔しい思いで見つめていた9.7インチiPad Proユーザーは少なくないだろう。筆者もまさにその一人だ。一体、何がどれだけ違うというのか。今回、編集部から10.5インチのデモ機を借りることができたので、手元にあるマイiPad Pro 9.7インチと比較しながら紹介していきたい(涙)。

○一見するとそっくり、だけど画面はしっかり大きい

まずは外見的な違いから。本体サイズは10.5インチの方が微妙に大きめ。厚さ・重さはスペック上はちょっと違うものの、手に持ってもその差はほぼ感じられない。正直なところ、ベゼルの黒いタイプでは一見してどちらか見分けがつかないほどだ。

しかし、画面が点灯すると明らかにスクリーンサイズの違いがわかる。特にベゼルの幅の違いが顕著に見て取れるだろう。9.7インチに比べて10.5インチは本体のサイズが7%大きくなった。一方でスクリーンの面積は20%も拡大。全体のサイズに占める画面の割合が大きくなっているのだ。

○スローモーション撮影で見えた、描画力の違い

iPad Pro+Apple Pencilの描画性能は、控えめに言ってすごい。ということは以前のレポートでもお伝えした通り。これまで使ってきたどのスタイラスでも得られなかった滑らかさと書き心地だ。ペイントアプリが、手書きメモアプリが、本当にその名の通りのものとして使えるツールになることを予感させてくれた。果たして10.5インチは、それのどこを上回ろうというのか。

10.5インチでは、画面のリフレッシュレートが最大60Hzから120Hzに上がっている。1秒間に画面が書き換えられる回数が最大120回になることで、人間の目には表示の動きがより滑らかに見えることになる。例えば、長いWebページや「写真」のサムネイルをスクロールした時、画像がカクカクして遅れたように見えることなく、紙を滑らせているようにするりと指に追従してくる。実際の速度で見ていると目にかかるストレスがかなり違う印象だ。iPhoneのスローモーション撮影(240fps)でその違いを確かめてみた。

また、これはペイント機能にも影響がある。9.7インチでも十分だったが、10.5インチでは描画がよりピッタリとペンシルに追従してくるのが分かる。文字や細部の描画ではそれほど影響はないが、広い面積のペイントなどブラシを大胆に使う場合にはその差が実感できるだろう。

○PCライクに使える画面サイズとキーボード

iPad ProをPCのように使うことを考えるなら、スクリーンサイズに注目。10.5インチの解像度は2,224×1,668ピクセル、一方9.7インチは2048×1536ピクセル。表計算アプリのNumbers、ワープロアプリのPagesなどでは作業エリアの差が分かりやすいだろう。

今年の秋にリリースされるiOS 11は、iPad向けの新機能が豊富に用意されている。スプリットビュー(画面分割表示)でアプリをまたいで写真をドラッグ&ドロップしたり、ファイルの扱いが便利になる「folder」アプリが新しく追加されるなど、これまで以上にパソコン的な役割を果たしてくれることになるだろう。

9.7インチを購入した時に不満のあったスマートキーボードも、10.5インチモデルに合わせてアップデートされている。9.7インチ用はUS配列だけだったが、新たにJIS配列が登場。かな/英数切り替えや一部の記号入力など、微妙な使いづらさがこれで解消される。また、キートップも約13mmから約14mmへと大きくなった。実際に試して見たところMacとさほど変わらない感覚で打つことができ、長文入力もストレスフリーだ。

派手なアップデートではないものの、堅実に実力を上げてきた2年目選手といった印象を受ける10.5インチiPad Pro。ほんの1年前に買った前モデルのユーザーとしては涙目ながら、そのポテンシャルの差を実感した。この秋に控えるiOSのアップデートによって、いよいよ本領発揮となるはずだ。