●あらゆるエリアを徹底管理! フードローダー車体験で見えた動線
「お客さまとともにANAらしいものを作りたい」。その想いを具現化したANAの「機内食総選挙」は、2017年で5回目の開催となる。決選投票となる2次投票が7月27日にANAのFacebookを通じて幕を開け、7月29日には機内食工場・ANAC川崎工場にて、一般を対象とした工場見学&試食イベントが開催された。この機会に、ANAの機内食はどのような環境で作られているのかのぞいてみた。

○今年は3会場で試食会も実施

今回の「機内食総選挙」は、ANAが12月以降に提供する国際線エコノミークラスの機内食(日本発、一部路線を除く)を決定するもので、投票はFacebookや中国エリアのSNS「新浪微博(Sina Weibo)」に加え、Twitterからも参加できる。1次投票はANA機内食総選挙が始まった2013年から2016年までの人気メニュー8食の中から選び、2次投票は1次投票で決まった和洋上位1,2位のメニューと今年考案の新メニュー和洋4品を加えた合計8食の中から、和食と洋食それぞれの1位を決定する。

2次投票は7月27日〜8月6日にかけて実施。7月中はFacebookのみでの展開となるが、8月からはTwitterとWeiboからも投票できる。2次投票の期間中、羽田・中部・関空の3会場では、試食のリアルイベントを実施し、7月29日に羽田会場で行われた試食会では、ANAC川崎工場の見学もあわせて展開された。

試食会自体は2016年にも羽田会場のみで行われたが、2017年では会場を3つに増やして参加者を募集した。全国から約700人の応募があり、抽選で選ばれた参加者は21〜72歳と幅広い層となった。なお、SNS利用の理由で、応募は18歳以上としていた。

ANAC川崎工場で行われた試食会には、関東圏から訪れた37人が参加。何度もANAの機内食を体験したことがあるという人から、まだ1,2回という人まで、"ANA機内食歴"はさまざまのようだった。ANAC川崎工場は2011年に、羽田空港の再国際化に合わせて操業開始となった工場で、2014年度には延床面積1万4,266平方メートルに拡張。今後増大が予想される羽田空港からの国際線に対応し、羽田発着のVIPフライトにも対応する機能を備えている。

○大量の商品も一目で分かるように

まずは、ANAC川崎工場やANA機内食のポイントをまとめた映像で、工場見学の予習を実施。ANAでは、ANAシェフと国内外の著名シェフ、また、お酒やコーヒーのプロフェッショナルで編成された「THE CONNOISSEURS(ザ・コノシュアーズ)」が、国際線(日本発便)および国内線プレミアムクラスの食事と一部のドリンク一部をプロデュースしている。動画の中では、安全であること・おいしいこと・美しいことのみならず、機内でCAがいかに簡単に提供できるかということも含めた一連の流れの中で、シェフたちがメニューを考えていることも紹介されていた。

機内食工場の主なエリアとして、食材の受け入れ検査と温度チェックを行う「調達エリア」、下処理・調理製造・盛り付け・トレイセットまで一連の作業を担う「調理エリア」、食器の洗浄や機内搭載品の管理・搭載を担う「機内サービスエリア」、フードローダー車に積込み・運搬・機内への搭載を担う「航空機搭載エリア」がある。これらの一連の作業は、ディスパッチの指示に基づいて行われる。今回の工場見学では、調理エリアを除いて案内された。

身支度を整えてエリアの中へ。今回は調理エリアの見学を除いている関係で、マスクやシューズカバーは簡略化されたが、手洗いは石鹸で手首や爪の間まで洗浄し、微酸性電解水ですすぎ、水分をふき取った後はアルコール消毒をするなど、徹底した衛生管理が見学者にも求められた。

手洗いを終えてたら、機内販売用の商品やお酒などの保税品蔵へ。それぞれを明確に区別するために、棚には外貨(外国貨物)や内貨(国内貨物)、未納税と目につく形で表示されている。

蔵の中で、50mlとお土産にぴったりなサイズのウイスキー「響」を発見。これは機内で提供される特別サイズで一般には販売されていないものだという。スタッフによると、「お客さまから購入したいという声もいただけるんですが……すみません、販売できないんです」とのこと。その奥では、カートへドリンクなどの詰め込み作業が行われていた。

○フードローダー車の中に潜入

一旦、大きなエレベーターで上の階へ。下の階に比べて明らかにひんやりしているのが分かる。エレベーター側のエリアは、トレイセットまで終わった機内食をフードローダー車に詰め込むエリアになっていた。

機内食工場の一律ルールとして、食品は作られてから全て5度以下に冷やされる。これは衛生面のほか、味わいを保つという意味もある。さらに、8度以下に管理されている冷蔵庫の中なら60時間以内、18度以下に管理されている環境の中なら45分以内というのが、工場・全社あげての共通認識になっているという。ゆえに、詰め込み前のこの空間は、18度以下に管理されているとのこと。

フードローダー車に続く扉の前には、機内に搭載する物がそろえられている。今回、特別にフードローダー車の中に入らせてもらった。この時、大人が10人程度いたのだが、それでも窮屈にならない程の広さがあった。扉が閉まりゆっくりと下降。視覚的にもすぐ分かるよう、動作中であることを光で知らせてくれる。

ラダーがかかりスムーズに下車。目の前は使用後のカートが並べられており、その奥には2列のベルトコンベヤーが続いていた。この上を食器などがゆっくりと進んでいく。スムーズな流れになるように工場の各エリアが設けられていることを実感した。

さらに奥には、使用済みの雑誌や機内用のペーパーカップなどの備品、そして、カトラリーエリアが。特にビジネスクラス以上のカトラリーは、一つひとつ手作業できっちりと整えられていた。

さらに奥に行くと、機内で使用する食器やグラスなどの状態確認が行われていた。側には一式そろえられた食器がラックに収まっている。このラックはそのままエレベーターで、上層階の調理エリアに運ばれるというシステムになっている。

ひとつのフロア内に洗浄を担うエリアと機用品を扱うエリアがあるのだが、エリアの仕切りとなるところには扉があり、常時扉を閉めることをイラスト付きで注意喚起するなど、管理を徹底するための取り組みが随所に見受けられた。

工場見学を終え、いよいよ機内食の試食へ。

●1,2位vs新メニュー! CA体験もしながら実食で総選挙
○ラーメンをイメージした「チャーシュー丼」も

機内食の試食は、1次投票で選ばれた和洋2品ずつの中から1品、今年考案の新メニュー和洋2品ずつの中から1品、合計ひとり2品を行われた。1品目は和洋好きな方を選び、2品目はくじで選ぶことになっていたので、人によって試食できるものはそれぞれとなっていた。

1次投票から選ばれた4品は、和食1位の「牛すきやき丼」と和食2位の「とろとろ玉子の鰻玉丼」、洋食1位の「赤ワインで煮込んだハッシュドビーフ」と洋食2位の「洋食屋さんのカツカレー」。そこに新メニューの、和食「焼き鳥丼」「チャーシュー丼」、洋食「ビーフシチューとオムライス」「ビーフカレー」が加わった。

○カートサービスのトリビアも紹介

試食会場には、メニュー開発に携わたった和食のシェフ(川村博之さん・坂東泰男さん)と洋食のシェフ(伊藤克敏さん・中嶋裕幸さん)も登場。参加者の各テーブルを回りながら、どのような工夫がされているのかを話すとともに、参加者からの質問にも答えて回っていた。

参加者からは、「普段、限られた空間の中で食べているので、こうしてゆったりと味わえるのは新鮮で楽しい」という声の他、「色味や詰め方など、お弁当作りの参考にもなりそう」という声もあった。

また希望者には、CAのエプロンを着て、ドリンクを提供するカートサービス体験も実施。その際、動く機内の中でカートを制御するために、カートの足元にストッパーが設けられているほか、機内持ち込みで制限されているハサミを使用しなくても、ドリンクのパックは手で封を開けられるようになっているなど、なかなか知る機会のないトリビアも披露された。

投票は8月6日まで実施し、投票結果は後日、Facebookを通じて発表される。投票の参加は自由。これらの8品の中からどの機内食が選ばれるのか。気になる人はぜひ、実際に投票に参加した上で結果を待ってみては?