内閣府は7月27日、大学の研究室などで生み出された研究成果(技術シーズ)の活用と、企業などが欲しているニーズのマッチングを促進し、日本からイノベーションを起こすことを目指した情報交換や人材交流の場をなることを目指す「サイエンス&イノベーション・インテグレーション(S&II)協議会」を設立。第1回目となる会合を開催した。

同協議会は鶴保庸介 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)のイニシアティブにより立ち上げられたもので、同大臣は設立に際し、「サイエンスとイノベーションの間に"&"があり、サイエンスイノベーションという一体化したものではないことが重要。これをどう考えるか、ということを踏まえた協議会がS&II。政府としてもGDPの成長率を高めるために科学技術の活用が必須と考えており、今回、協議会を立ち上げることで、組織や業種の垣根を越えた連携が深まっていくことを期待したい」とコメント。すでに先行している海外の事例を踏まえ、日本らしいありかたを模索していきたいとした。

S&IIの目的としては、オープンイノベーションやベンチャー支援などの分野で活躍する各種の支援人材(コーディネーター、メンター、プロジェクト・マネージャー(PM)、URAなど)の自律的なコミュニティ作りの母体となることを目指し、イノベーションおよびベンチャー育成にかかる人材を広く結集し、「人的コミュニティの結成」、「関係事業の見える化などによる橋渡し効果の拡大」、「政策提言の検討提示」などを行っていくとしている。実際に、協議会設立に先駆け、鶴保大臣自らが中心となって、関係する100を越す関係者へのヒアリングを実施したとのことで、そこから技術ベンチャーを取り巻くさまざまな問題点が浮き彫りとなったことを受け、「なぜ日本では新技術がベンチャーなどによって社会実装されにくいのか。どのような手立てを講ずればよいのか」といった部分を基本的な問題設定とし、その解決を目指すといった方向性が示されたという。

実際の活用内容としては、「産官などが実施する各種イノベーション創出事業間の横断的名組織・人材の連携と交流の促進」、「イノベーション創出やその支援に取り組む人材の育成に向けた活動」、「その他協議会の目的の達成に資する活動」としており、対象とする人材の層としては以下のような人たちを想定しているという。

起業家、スタートアップ経営者
起業を支援するインキュベータ、アクセラレータ
起業シーズを掘り当て育成する研究面でのプロジェクト・マネージャー群
大学・研究機関、研究開発ファンディング機関、金融機関、政府・自治体

また、総合科学技術・イノベーション会議有識者議員である上山隆大氏が今後の活動の方向性について、「基本的にはサイエンスの現場で生み出された成果を、どのように早く、社会や世界のすみずみまで移転・普及させていくのかというプロセスを考えるのが全体としてのイノベーションの役割。研究室の成果がすぐに市場にでるわけではなく、市場にでるための阻害要因をどうやって取り除いていくかを考える必要がある。政府としてできるのか、研究と市場をつなぐバッファ層の人材をどう育てるのか、という点であり、各レイヤごとに必要とされる人材をどのように育成していくのかが求められることとなる」という点を強調。すでに進められているImPACT(革新的研究開発推進プログラム)でのPM育成などがあるにはあるが、バッファ層の人材の数は圧倒的に不足しており、そこを増やすための実践的な試みが政府に求められる役割だとし、定義は難しいものの、PMスキルの標準化ならびに人材のプールを図る取り組みなどが必要だとした。さらに、「このような動きは、政府の役割に新たなステップが来ていることを表すもの」(同)ともしており、制度的な政策を作ることは積極的に行うべきだが、そこからPMを生み出し、育成していくことに関しては、政府が逆に邪魔をしないことも重要で、そのためには政府のオープン化が求められると、国としても変化する必要があるとしたほか、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)の山脇良雄氏も、「今日の議論を聞いていると、役所はいらないと思える」とし、今後の民間企業などによる交流が進んでいくことへの期待を示した。

なお、同協議会では、今後の情報提供および意見交換の場として、マイクロブログ型サービス「マストドン」を活用していくとしており、第一弾受付を同シンポジウム参加者ならびに関係者向けに開始しているが、参加者多数の場合は、受付締め切り(7月31日18時予定)の前に募集を終了する場合があるとしている。その後の追加募集も予定しており、それに関しては、後日改めて案内を行うとしている。