岡山大学は、モデル植物のシロイヌナズナを用いて、植物細胞が真っ直ぐに成長する仕組みを解明することに成功したと発表した。

同成果は、同大大学院 自然科学研究科の本瀬宏康 准教授、高谷彰吾 博士後期過程3年、高橋卓 教授のグループと、異分野基礎科学研究所の小澤真一郎 特任助教、高橋裕一郎 教授、奈良先端科学技術大学院大学の橋本隆 教授らによるもの。詳細は8月10日(英国時間)付けで、英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載される。

植物の細胞が茎や根、花などの器官を形成する際には、個々の細胞がどの方向に、どれくらい分裂・伸長するかが厳密に制御されることで、さまざまな形の器官が生み出される。そうした植物細胞が特定の方向に伸長する際には、「微小管」と呼ばれる細胞内の骨格が整列し、成長する方向性を決定することまでは知られていたが、その微小管を整列させる仕組みについてはよく分かっていなかったという。

そこで研究グループは今回、NIMA関連キナーゼ6(NEK6)というたんぱく質の機能を手がかりに、その謎の解明に挑んだ。その結果、NEK6は、NEK6を欠損したシロイヌナズナ変異体では、微小管が整列しないため、細胞と器官が異常な方向に伸長すること、NEK6は変形した微小管が除去される場所に蓄積することなどが判明したほか、NEK6が微小管を構成するたんぱく質であるチューブリンの特定のアミノ酸残基をリン酸化し、脱重合していることを確認したとする。

この結果から、研究グループは、NEL6たんぱく質が異常な微小管を除いて整理整頓することで、微小管が整列し、細胞が特定の方向に伸長できることが示されたと説明しているほか、NEK6がリン酸化する部位を決定することで、微小管を除去する分子機構の一端が示されたとも述べており、NEK6には異常な微小管を除いて品質管理を行う機能があり、細胞内の微小管密度を最適に保つホメオスタシスに貢献していると考えられるとしている。

なお、今回の成果について研究グループでは、植物がどのようにして細胞全体に散在する微小管を制御し、極性のある細胞伸長を実現しているのかを理解することにつながるものとコメントしているほか、微小管やNEKたんぱく質の欠陥がさまざまな疾患を引き起こすことから、疾患原因となる細胞内の基本的な分子プロセスの知見の提供にもつながるともしている。