県は今年度から、自治体が主体に進めている地域公共交通のあり方に対して、県として具体的に何ができるか検討を始めた。地域の日常生活に欠かせない移動手段の持続的な確保に向け、各地でさまざまな取り組みが行われている。一方、財政負担が増す自治体からは、「県がもっと積極的に支援を」と、公共交通の問題解決に関与を求める声が根強いのが実情だ。

 県は5月、学識経験者や交通事業者、福祉団体、商業団体、国、自治体などの関係者で組織する「地域における移動手段の確保・補完に関する検討会」を設置。広域連携の働き掛けも含め、市町村との関わり方や対応などについて協議し、今年度中に何らかの方向性を示す。来年度以降、実証実験を視野に具体的な事業化を進める考えだ。

 各自治体の課題を把握するため、県内77市町村1広域連合を対象に、地域公共交通に関するアンケートを実施。20日に長野市内で開いた同検討会・生活交通部会で、調査結果(速報)を報告した。

 それによると、「県が市町村間の調整役に」といった、つなぎ役を求める意見が目立った。また、デマンド交通については、利用ニーズに配慮しながらの調整に苦慮している自治体の実態が明らかになった。

 運転免許自主返納者に対する支援事業や、障がい者を対象にしたタクシー券補助事業などには、財政支援を求める声も少なくない。

 公共交通全般については、自家用車から公共交通へ効果的に転換するための制度や仕組みの必要を指摘する意見も。一方で農村地帯からは、「田畑へ行くには免許は手放せない」という切実な声が寄せられた。

 将来に向けて、地域振興局(旧地方事務所)管内で自治体同士の議論の場を設置し、広域的な検討を進めることが重要とするなど、県の指導力を求める意見も多い。

 同検討会では今後、▽IoTを活用した地域コミュニティ交通システム▽事業者間、市町村等の連携による貨客混載(旅客と貨物の「かけもち」)―などの考え方も取り入れながら、具体策を協議していく。
 県交通政策課は「地域の課題を把握しながら、県としてどんな支援ができるのか検討したい」としている。