伊那市営球場で5月30日夜に行われたソフトボールの試合中、強いライナー性の打球を胸に受けた投手の命を適切な処置で救ったとして、上伊那広域消防本部伊那消防署は23日、上伊那、諏訪地方の男女3人に署長感謝状を贈った。即座に119番通報をするとともに、救急隊が到着するまで救命処置を実施。投手の20代男性は心肺停止状態になっていたものの、救命の”連係プレー”により呼吸が戻り、現在は社会復帰を果たしているという。

 3人は、相手チームだった信濃路クラブ(伊那市)監督の有賀賢治さん(59)=同市西箕輪=と、試合を観戦中だった山田李佳子さん=岡谷市川岸上=、別の試合を観戦していた諏訪中央病院看護専門学校(茅野市玉川)2年生の浅野成美さん(20)=伊那市中央。

 浅野さんは「看護を学ぶ私が行動しなければ」と駆け付け、倒れ込んだ投手の反応と呼吸を確かめた後、心臓マッサージを実施。救命講習の受講経験がある有賀さんは、球場管理棟にあるAED(自動体外式除細動器)の手配を仲間に頼み、音声ガイダンスに従って自ら操作した。

 山田さんは自身の携帯電話で119番通報。事故や傷病者の状況を知らせたほか、消防からの口頭指導の内容を2人へつなぐ伝令役も担った。

 心肺停止からおよそ3分で救命率は約50%まで低下するとされる中、「3人の処置がなければ救命、社会復帰は難しかったと考えられる」と同署。木下広志署長は「迅速かつ的確な応急処置と、勇気ある行動に感謝したい」と礼を述べた。

 自身のことより投手の回復を喜び、「現場に居た全員が力を合わせた結果」(有賀さん)と強調した3人。「学校での技術・知識の習得があったからこそ、できた行動だと思います」と浅野さん。有賀さんも救命講習が役立ったと振り返った。伊那市出身の山田さんは「今回の出来事をきっかけに、応急手当てが普及していけばうれしい」と願っていた。