今年4月から稼働している伊那市富県の春富水力発電所で12日、同発電所を管理運営する春富土地改良区が、地元区民らを対象にした現地見学会を開いた。理事らが、発電所の設備や機能などについて説明。経由する新山川から運ばれてくる土砂量の多さによる影響などを課題に挙げた一方で、「全体的には順調に発電している」などと伝えた。

 同改良区の農業用水路を活用する小水力発電所で、かんがい期の4〜9月に発電する。高低差を生かして発電機に水を送り発電する仕組みになっていて、有効落差は約22メートル。最大出力は約198キロワット。1日発電量は4400〜4500キロワットで、全量を中部電力に売電する。固定価格買い取り制度に基づき、売電額は1日当たり約15万円を見込めるという。

 一方、新山川から運ばれてくる土砂やごみの「想定以上の多さ」が課題だ。施設には、自動的に土砂などを取り除く機能があるものの、完全に対応し切れていない。このため、7〜10日間に1度は、半日間ほど稼働停止させ、たまった土砂を人の手で除去せざるを得ない状況という。

 「課題はあるものの、目立ったトラブルはなく順調」と同改良区の織井秀夫理事長(82)。「今後もトラブルなく進むことで、売電で得た収入を、老朽化した農業用施設の改修に充てていければ」と期待していた。

 同発電所は、県営かんがい排水事業の一環で整備された。所有する県は年度内に、同改良区へ施設を譲与する方針だ。