特定非営利活動法人格を取得した「NPO法人信州難聴者協会」(濱富美子理事長)は23日、諏訪市総合福祉センターで設立記念式典を開いた。聴覚に障がいを持つ人たちがこれまで以上に自立した生活、社会参加ができ、誰もが均等に生活できる社会の実現を支援することを誓った。続いて同市在住の画家原田泰治さんの記念講演会を開き、一般来場者と共に原田さんの半生を聴講した。

 同協会は1987年、任意団体「県難聴者の会」を立ち上げ、89年「県中途失聴・難聴者協会」として設立。以来さまざまな課題を抱えながら、コミュニケーション手段の確保などに尽力してきた。

 式典で濱理事長は「9月に社会に一層認知され、信頼される団体になるため再出発した。今後も関係機関のご支援をいただき、ノーマライゼーション社会の実現に寄与したい」とあいさつ。金子ゆかり諏訪市長、井出萬成県聴覚障害者協会理事長ら来賓が、これまでの活動に敬意を表し今後の活躍を祈念した。

 記念講演会は、原田さんが「一本の道」の演題で講演。4人兄弟の末子として生まれ、間もなく小児まひにかかった原田さん。2歳の時母親が急逝、父親は家族のために後妻を迎え、看板業に見切りをつけて開拓農民として伊賀良村(現飯田市)の高台に移住。土のぬくもりなどが心身のリハビリとなり、幼少期に広大な景色と地面から「鳥の目」と「虫の目」を養った。

 定時制高校時代、つかみ取った弁論大会県大会の優勝や絵画、デザイン全国コンクールでの評価が今日の芸術活動のスタートとなった歩みを、映像を交えて紹介。常に見守ってくれた親の愛情に感謝の気持ちをにじませながら、「障がいを持ち不自由だったからこそ得たものも多く、良いこともたくさんある」と結んだ。