富士見町葛窪、小六両区内に江戸時代から伝わる御神楽が共演する創作朗読劇の催しが、31日午後1時30分から葛窪区内の舞台・舞屋で開かれる。区民と交流のある都内在住の女性がこの地域への愛着を込めた物語を作り、両区の御神楽、獅子舞保存会が盛り上げに力を寄せた。両区の御神楽が芸能の一つ舞台にそろって立つのは今回が初めて。「皆で力を合わせて成功させたい」(平出孝葛窪区長)と意気込んでいる。

 催しを企画した夏目雅子さん(57)は5年前から葛窪区内で農業体験をしており、「温かく受け入れてくれる富士見の人たちへ恩返しをしたい」と舞台上演を思い立った。長年、この地で伝統文化を継承する区民への尊敬を込めて御神楽と諏訪大社をモチーフにした物語を制作。学友で俳優、演出家の彩乃木崇之さん(57)=川崎市=の力を借りて朗読劇にした。

 町内では津島社を祭る地区で御神楽が伝承されており、葛窪の御神楽は区民全員参加の保存会が技をつないでいる。「幕の内」「本舞」「剣の舞」で構成し、笛と太鼓のおはやしに乗った雄獅子の勇猛な身のこなしが特徴という。

 小六の御神楽は小学生から70代まで幅広い世代の区民有志が技を継承。7月の祇園祭では区内全戸で雌獅子が「剣の舞」「清めの舞」を踊り、家々の病魔を切り払って、厄よけをする。近年はオリジナルの舞も考案して町内の祭り会場や観光施設などでも披露して伝統の保全に力を尽くしている。

 両区の御神楽は祭りの時期が近いこともあって互いの舞を見る機会はこれまでにほとんどなく、また両区以外の住民にもあまり知られていない。葛窪御神楽保存会の平出哲夫会長は「小六がどんな舞をするのかとても興味がある。共演が楽しみ」といい、小六獅子舞保存会の内藤秀義会長は「昭和の時代には交流があったと聞くが、舞台を一緒に踏むのは今回が初めて。これを機に雌雄の獅子を年1回会わせてあげるのも一興」と話す。

 夏目さんは「多くの人にこの地域の良さを伝えたい。苦労を乗り越えて伝統を受け継いできた両区が、将来に向けて文化保存で支え合うきっかけにもなれば」と話している。

 当日は前半に朗読劇、後半はそれぞれの御神楽の紹介、舞を披露する。入場無料。