岡谷市、諏訪市、下諏訪町に大きな被害をもたらした大雨災害から15日で1カ月を迎えた。岡谷市で母子3人が犠牲となる土石流災害が起きたほか、3市町の各地で浸水被害や土砂崩落が多数発生。現在も土石流現場近くの一部世帯に避難指示が継続され、陥没した同町の国道142号は復旧のめどが立たないなど、災害の爪痕は深く、住民生活への影響が長引いている。

 前線の停滞に伴って13日から断続的に続いた雨は、岡谷市内の観測地点で土石流発生時刻に近い15日午前6時までに累積雨量377ミリを観測。土石流は中大久保と大久保の2カ所で起き、土砂などが下流の鮎沢、駒沢両区の住宅地に達した。避難指示は1万2480世帯2万9023人に発出され、現在は両区の26世帯75人に継続されている。うち3世帯が市営住宅などで避難生活を送っている。

 市内全体の被害は今月8日現在、住宅が全壊1棟、半壊2棟、準半壊1棟、準半壊未満2棟、床上浸水8棟、床下浸水192棟。道路や河川など住宅以外の被害は計430カ所に上るが、まだ調査が続いており、市は「被災状況の全体像の把握はまだできていない」とする。

 諏訪市は諏訪湖や河川の水位が上昇し、水路や側溝に水が逆流してあふれる「内水氾濫」が発生。住家被害は今月3日現在、浸水が床上12棟、床下142棟で、商業地域では新型コロナの感染拡大防止の営業時短要請に水害が重なり、商業者の悲痛な声が聞かれた。避難指示は9105世帯1万9815人に発令。

 下諏訪町では33世帯69人に避難指示を発令した。町は今月13日現在、床上浸水1棟、床下浸水25棟、水害41カ所、土砂被害18カ所で被害を確認しており、道路は国道142号を含め5路線で通行止めが続いている。

 自治体が復旧、復興作業に追われる中、防災減災対策の課題も見えてきた。岡谷市議会9月定例会では住民の早めの避難につなげるソフト対策の強化や、砂防えん堤の築造などハード整備について県などへの働き掛けを求める声が相次いだ。一方、諏訪市では少子高齢化による地域防災力の低下が顕在化。ボランティアの重要性が増し、支え合う地域コミュニティの充実が課題に浮上した。内水氾濫対策も喫緊の課題となっている。

 また岡谷市の土石流現場では14日、中大久保に仮設えん堤(大型かご枠工)が完成し、県諏訪建設事務所は残る大久保のえん堤も今月中に完成させて応急対策を終える考え。市は仮えん堤完成をめどに避難指示を解除する方針で、今後、県により本格的な砂防えん堤が造られるまで、下流域への避難指示の発令基準を従来と異なる内容にするかなどの検討を進めている。