新型コロナウイルスの感染拡大とともに、自ら命を絶つ人が今、増えています。コロナ禍で心の不調をきたす人がいると言われる中、大切な人や自分に異変を感じたら、どうすればよいのでしょうか。

「心の声を聴いてほしい」 きょうもSOSの電話が鳴りやむことはない

電話を受ける愛知いのちの電話協会の相談員

 1081人。去年11月までに、愛知県で自ら命を絶った人の数です。

 警察庁によると、県内の自殺者は2019年の同じ時期と比べ、100人近く増え、全国でも、1万9000人を超えています。

 悩みを抱える人の相談に応じる「名古屋いのちの電話」。相談員は、相手の名前を聞くことも、自分が名乗ることもありません。

 鳴りやまない相談室の電話に灯る赤いランプは、悩みを抱えた人からのSOSです。

「死にたい」と話す人の話しを傾聴する

なりやまないSOSの電話

 コロナ禍のいま、相談の内容にある変化が…

 「自殺を少し考えている人や前に考えたころのある人の割合を自殺傾向率という形で出しているんですけれども、2019年は12〜13パーセントで推移しているが、22%から23%くらいに上がった。」(愛知いのちの電話協会 加藤明宏事務局長)

 増えている「死にたい」という言葉。

 「いのちの電話」では、「死にたい」と話す人を無暗に否定したり説得したりはしません。心掛けているのは、溢れ出す相談者の思いを受け止め、静かに耳を傾けること。

 悩んで塞ぎこんだ時こそ、誰かに話を聞いてもらうことで徐々に落ち着きを取り戻す人も多いといいます。

 「人に話すことによって心が軽くなるし、生きていくことがつらいこともあるが、楽しいことも絶対あるはずですし、悩んでいる人を、取り巻く人が必ずいるので頼ることもあっていいと思う、つらい時こそそういうことが大切。」(愛知いのちの電話協会 加藤明宏事務局長)

専門家は「不安や焦燥感が世の中に広がっている」と指摘

愛知県精神科病院協会 舟橋利彦会長

 誰にでも起こりうる一方で、気付かれにくい心の不調。コロナ禍の生活が、直接の原因かどうか定かではありませんが、精神疾患の治療に携わる専門家は、「不安や焦燥感が世の中に広がっている」と指摘しています。

 「ずっと狭いところにじっとしていると自分の身動きがとれなくなり、不安になったり焦燥感を起こしてパニックを起こしてしまう。外にでて自由にしたい、その一方で自分がコロナにかかるかもしれない、迷惑がかかるかもしれないという心理が働く。この葛藤によって今の日本人のこころは不安定になっている。」(愛知県精神科病院協会 舟橋利彦会長)

 友人や家族。大切な人が心の不調を訴えたとき、私たちにできることは。

 「みなさんがんばっている。頑張っている状態で、励ますつもりでしょうけど、がんばれっていうのは、その人を否定することになる。上司がちょっと頼むわとか、君ならできるとか。これ以上いっぱいいっぱいの時に大洪水になってしまうことはある。無理はしないで、自分のペースでと言う。一番してはいけないのは自分で抱え込む。あの人変だなって思ったら親しかったら聞いてあげる。それだけで快調することもある。自分で抱え込まない。」(愛知県精神科病院協会 舟橋利彦会長)

■名古屋いのちの電話 052−931−4343
現在、コロナの感染拡大防止の観点から、
相談時間は午前8時〜午後10時(月、水、金のみ翌朝8時まで対応)