大がかりな探索の末、巨大なマンボウの新種「カクレマンボウ」が見つかった。マンボウ属に新種が加わるのは125年ぶり。研究チームがまとめた論文は、7月19日付けの学術誌「Zoological Journal of the Linnean Society」に掲載された。

 重さ2トンを超える世界最大(重量)の硬骨魚類でありながら、マンボウはかなり人目につきにくい。そのため、4年にわたる調査は簡単ではなかった。

 オーストラリア、マードック大学の博士課程学生マリアン・ナイエガード氏、広島大元特別研究員の澤井悦郎博士らの研究チームは150を超すマンボウのDNAサンプルを分析。2009年、異なる4種に分かれることが判明したが、すでに知られている種だと判定できたのは3つだけだった。

 これに気付いたナイエガード氏は、まだ記述されていないマンボウが1種いるはずだと考えた。だが、どのような見た目かも、どこに隠れているのかも分からなかった。研究チームは、新種のマンボウを英語で「hoodwinker sunfish(フードウィンカー・サンフィッシュ)」、学名であるラテン語では「Mola tecta(モラ・テクタ)」と命名した。後者は「隠れている」という意味のtectusが由来だ。

 ナイエガード氏がようやくそのマンボウを間近で見ることができたのは、2014年だった。4匹のマンボウがクライストチャーチの海岸に打ち上げられたとニュージーランドの漁業者から連絡を受け、彼女は実物をその目で見ようと現地に飛んだ。

 次いで、世界中の大学の研究者がこのマンボウの標本を採取して分析した。結果、確かに新種に属することが証明された。また、従来知られていた3種のマンボウと異なる外見も、研究者たちの目を引いた。カクレマンボウの成魚は細く平らな体型をしており、他のマンボウのように、鼻先などにこぶ状の出っ張りができない。

 新種の発見以降、ナイエガード氏らの研究チームはカクレマンボウの生息を各地で確認した。ニュージーランド、オーストラリア、タスマニア、南オーストラリア、南アフリカ、チリ南部などの沖で見つかったことから、分布域は南半球の比較的冷たい海に広がっている可能性があると、ナイエガード氏はオーストラリアの学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション」の記事で述べている。

 マンボウの巨大な体は、エサをとるために深海に潜るときに体温を保つのに役立っている。その大きさゆえに浮き上がりやすいという利点もあり、体を温めるのに海面近くまで素早く戻ることもできる。