米国フロリダ州ランドオレイクスで、ある日突然、地面に巨大な穴があいて住宅をのみ込んだ。

 フロリダ州では各地で地面の陥没が相次いでいるが、地元メディアWFLAの報道によると、今回の陥没により、2軒の住宅、ボート、私道と公道の一部が穴に落下したという。

 7月14日に現地で撮影された動画には、1軒の住宅があっという間に崩れ落ちる様子が映っている。住宅の壁が湧き上がる泥水の中に落ちると、居間が丸見えになった。陥没による負傷者はいなかったが、住宅は倒壊し、周辺住民も避難を余儀なくされた。

 それでも今回の被害者はまだ幸運だった。2013年にはフロリダ州タンパ付近で真夜中に住宅の真下で陥没が発生し、就寝中のジェフ・ブッシュ氏が死亡している。2015年にも同じ地域で陥没が起きたが、このときは負傷者はいなかった。

 ランドオレイクスはタンパの北のパスコ郡にある。新しい陥没穴の直径は60m、深さは15mで、この地域にできた陥没穴の中では最も大きい。

突然の崩落

「陥没の研究は非常に遅れています」と語るのは、米ホフストラ大学の地質学教授ロバート・ブリンクマン氏。同氏は、陥没が都市や郊外に及ぼす影響を研究していて、2013年には本も出版している。

 ブリンクマン氏の説明によると、フロリダ州は石灰石とドロマイトを主成分とする炭酸塩岩の上にあるため、陥没が起こりやすいという。

 通常、陥没は徐々に起こる。岩盤の上に砂のような細かい堆積物があるときには、それがひび割れや穴に入り込む。そうして細かい堆積物が少しずつ下に落ちていくと、上にある地面は沈下していく。空洞が大きくなったり、上の堆積物が突然、水に洗い流されたりしたときに、陥没穴が形成される(穴は水で満たされることが多い)。

 一方、表面の岩の下に地下空洞が形成されることもある。空洞が大きくなり、表面の重さを支えられなくなると、これが突然崩壊する。

 フロリダ環境保護局は2015年に調査を行い、陥没しやすい場所の地図を作成した。

 この調査から、フロリダの南端と最北端では、地面と石灰岩の間に厚さ150〜300mの堆積物の層があり、緩衝材になっていることが明らかになった。しかし、フロリダ北西部の海岸付近では緩衝材になる層の厚さが3mしかなく、その分布は、陥没が多く報告されている地域とおおむね一致していた。

 この地図を使えば、州は的確な都市計画を立案できる。陥没しやすい地域に住宅を建ててしまうと、崩落を予防するためにできることはほとんどない。だから、このような地域には家を建てないようにすることが、唯一の確実な対策なのだ。

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