オーストラリアの動物といえば、カンガルーとコアラが有名だが、同じくらいかわいいのに見過ごされてきた動物もたくさんいる。

 例えば、熱帯雨林に暮らすキノボリカンガルーの仲間やカモノハシなど、オーストラリアには、378種を超える哺乳類が生息している。

 ブライアンは、こうしたあまり知られていない有袋類の1種、アカフサオネズミカンガルー(Bettongia gaimardi)。カンガルーとは別の科だが、小さなカンガルーのような生きものだ。

「カンガルーのように飛び跳ねますよ」と、オーストラリアの首都キャンベラにある2つの自然保護区を管理する非営利団体「ウッドランド・アンド・ウェットランド・トラスト」の生態学者ケイト・グラロック氏は言う。「とてもすばしっこく動き回ります」

 小さくてやんちゃなスポークスマンのブライアンが保護されたのは、約3年前のこと。生物学者が定例の健康診断を行なっている際、母親が育児嚢から放り出してしまったのだとグラロック氏は話す。「めったに起きないことです。こうしたケースでは、必ず赤ちゃんと母親をもう一度くっつけようと試みるのですが、うまくいかない場合もあります」

 いまや「もふもふ大使」となったブライアンは学校を訪れ、子どもたちに、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「近危急種(near threatened)」に指定されているアカフサオネズミカンガルーについて教えるのに一役買っている。

「みんな、フサオネズミカンガルーの名を聞いたことさえありません。みんなが我々と同じくらいフサオネズミカンガルーを大好きになるきっかけになればいいと思います」とグラロック氏は話す。「ブライアンは自分のツイッターページを持っていて、ツイートもするんですよ」

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