集団行動の起源は、恐竜が登場するよりずっと昔、5億年近く前まで遡るかもしれない。古代生物「三葉虫」が整列して海底をはう、珍しい化石についての新たな論文が、10月17日付けの科学誌「Scientific Reports」に発表された。

 おそらく集団で移動していたか、繁殖のために集合していたのだろう。論文によるとこの化石は、地球の進化史の早い段階で動物たちの秩序立った行動が始まったことを裏付けているという。

 初期の生物たちは、5億2000万年前には、触角や目などの精巧な感覚器官と、ここから入ってくるデータを処理できる脳を進化させていた。こうした進化により、動物たちはお互いの動きを感知し、調和して行動できるようになった。

 今回記載された化石には、10匹ほどの三葉虫が保存されている。今から4億8000万年前に現在のフランスとモロッコにあたる地域に生息していたアンピクス・プリスクス(Ampyx priscus)という種だ。この三葉虫は視力を持たなかったが、驚いたことに、この化石では直線状に整列しており、ほとんどの個体が同じ向きになっている。

 論文の著者であるフランス、リヨン大学の古生物学者ジャン・バニエ氏は、「この化石は、動物の集団行動が数百万年前に始まったような新しい進化的革新ではないことを示しています」と言う。「集団行動の起源ははるかに古く、動物が最初に爆発的に多様化した時期まで遡ることができるのです」

 三葉虫は絶滅した海洋節足動物で、現在の昆虫やクモ、甲殻類の仲間だ。同じように整列して移動するイセエビの場合、地磁気のわずかな変化などを利用して向きを定めているとされる。

 オーストラリアのニューイングランド大学の古生物学者で、論文の査読者であるジョン・パターソン氏は、「自然のドキュメンタリー番組では、動物たちのあらゆる種類の集団行動を見ることができますが、こうした行動の起源を考えることはあまりありません」と言う。「化石記録に動物の体だけでなく行動まで保存されているのは非常に面白いことです」

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