新型コロナウイルスの影響で閉鎖となった職場をどのように再開させるか、様々な議論がなされているが、これを機にオープンなオフィスレイアウトが時代遅れになるかもしれない。間仕切りのない空間に人がひしめき合うオープンオフィスでは、気が散る、煩わしい、などの不満に加えて、今や健康被害への危険性が高まっているからだ。

「(新型コロナウイルスのアウトブレイク)以前にも、おしゃべりな同僚から少し離れたくて、角のデスクへの移動を申請したことがあります」。そう話すのは、米テキサス州の保険代理店に勤めるエイラ・ラリック氏だ。テキサス州で不要不急ビジネスの再開が可能となるのに伴い、5月1日から再びオフィスへ出勤することになった。

 しかし、ぜん息を抱え、新型コロナウイルス感染症にかかれば重症化するリスクが高いラリック氏は、リモートワークの延長を申請した。「パソコンに向かっている間、ずっと3人の同僚から2メートル未満の距離にいることになるので、戻るのは少し心配です」

 多くの企業は職場環境をどうするべきか、考え始めたばかりだ。オープンオフィスであってもパーソナルスペースを考慮し、掃除の頻度を上げればよいだろうと言う意見もあるが、中には今回のパンデミック(世界的大流行)でオープンオフィスは完全に終焉を迎えるだろう、と話す専門家もいる。

「ざっくり言うとオープンオフィスは終わり、ということなのですが、それが意味することは様々です」。そう話すのは、ウーバーやネットフリックスを顧客に抱えるオフィスインテリアデザイン事務所、ノーテルのCEOアモル・サルバ氏だ。長い目で見ると、職場のレイアウトの問題だけではなく、私たちがなじんできたオフィスライフそのものが劇的に変化する、とサルバ氏は言うのだ。

より良い職場環境とは

 オープンオフィスを最初に流行らせたのは、20世紀初頭の建築家、フランク・ロイド・ライトだ。オフィスの壁を取り払うことで社会的な壁も取り払われ、職場が民主化するはずと考えたのだ。流行のデザインであり、かつ予算を抑えられるため、オープンオフィスというスタイルは普及した。80年経った今も、デザイナーや建築家たちは、オープンなレイアウトにすることで従業員同士が協力しやすくなると、似たような利点を挙げる。

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