米ワシントンD.C.のスミソニアン国立動物園は、8月21日の夜、同園が飼育する22歳のメスのジャイアントパンダ、メイシャンが出産したと発表した。

 出産時刻は午後6時35分で、子どもの性別はまだ分からない。メイシャンは赤ちゃんを大切に世話しているという。しばらくは毎日24時間体制で母子を見守っていく(メイシャンと子どもの様子は、同園がリアルタイムで配信する「パンダカム」で見ることができる)。

「ジャイアントパンダは、絶滅の危機に瀕する野生生物の国際的なシンボルであり、希望のシンボルでもあります。この貴重な赤ちゃんの誕生によって、世界が切実に求めている純粋な喜びの瞬間がもたらされたことを大変うれしく思います」と、同園の声明で園長のスティーブ・モンフォート氏は述べている。

 とても小さく、まだ目も見えないパンダの新生児は、よく知られているようにか弱く、生き延びられる保証はない。それでも、3月に人工授精を行って以来今か今かと待たれてきた待望の赤ちゃんが誕生した。

 メイシャンには、今でも生存している子どもが3頭いる。2005年生まれのタイシャン、2013年生まれのバオバオ、2015年生まれのベイベイは、いずれも現在は中国で暮らしている。

 だが、パンダが成長するには、乗り越えなければならない4つの試練がある。

1. とてもひ弱な新生児期

 ジャイアントパンダは、出生時には85〜140グラムしかない。母親の体重の900分の1。有袋類を除く哺乳類では、新生児の体が母親と比べてとりわけ小さい。

 生後2カ月間は目が見えず、這うこともできず、母親の体温と母乳に依存しており、その保護なしには生きられない。

 1980年代にパンダの飼育繁殖が始まって以来、その行動や栄養摂取に関する知識と監視技術が大幅に向上してきたことにより、「飼育下で生まれたパンダは、ほとんどが生存しています」と、非営利団体「パンダマウンテン」の創設者で会長のマーク・ブロディ氏が2015年にナショナル ジオグラフィックに語っている。同団体は中国の臥竜自然保護区でパンダの生息地の保全と回復に取り組んでおり、ブロディ氏はナショナル ジオグラフィック協会の支援も受けている。

「パンダは大変貴重ですから、動物園は万全の態勢を整えています」とブロディ氏。

 それでも悲劇は起こる。2012年9月にメイシャンが2度目に産んだメスは、生後1週間で死亡した。動物園によると、肺と肝臓のダメージが原因だった。肺の発達が不完全で、酸素を十分に取り込めなかったようだ。

 また、2013年にメイシャンが産んだ双子の1頭は死産だった。これは非常に珍しいケースだという。

次ページ:パンダの母親に学ぶ