「今でも地元の人々が山頂に登り雨ごいの儀式をするような、時を超越した場所です」

 フォトジャーナリストのジェン・ガイトン氏は、アフリカ南部のモザンビークにあるチマニマニ国立公園についてこう語る。氏は、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある。

 2020年10月に設立されたチマニマニ国立公園は、ジンバブエとの国境の山岳地帯に位置し、標高約2436メートルのモザンビーク最高峰ビンガ山を擁する。かつてはゾウやライオンなどの大型動物が数多く生息し、その姿は古代のサン人が残した岩絵にも描かれている。

 数十年にわたる内戦で密猟が進み、野生生物の個体数は激減したが、少数のゾウのほか、少なくとも42種の哺乳類やさまざまな鳥類や植物が生き残った。ガイトン氏が写真撮影を行った最近2回の生物多様性調査だけでも、475種の植物と、260種の鳥、67種の両生類および爬虫類が確認された。その中には、新種と見られるカエル1種とトカゲ1種も含まれる。

 ここではバードウォッチングや、森の中の滝を目指してハイキングができるほか、地域の小さなコミュニティーが運営する環境に配慮した宿泊施設「ンズー・キャンプ」で一夜を過ごすことができる。こうした持続可能な観光の活動に参加すれば、魅惑的な自然を間近に感じられる。

 ガイトン氏が特に気に入っているのは夕暮れ時だ。「周囲数キロメートルには1本の道路もなく、完全な静けさの中で聞こえるのは鳥の声だけ。温かな光に包まれて、超自然的とも言えるような安らぎを得られます」

※「いつか訪れたい旅先25 2022年版 もう一度旅に出よう」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。