年間200本以上の映画やドラマを鑑賞するe-NAVITAスタッフのKが「こんなかたにおすすめ」「楽しむポイント」などのプチ情報も交えながら、おすすめの映画をご紹介するこの連載。


深まっていく友情にグッとくる!バディもの刑事映画5選

 

今回は「深まっていく友情にグッとくる!バディもの刑事映画5選」を紹介します。バディ映画の魅力といえば、「ほんとうに仲よくなれるの?」と馬が合わなそうな2人が手を取り合って苦難を乗り越えていき、最後は心を許し合うほどの友人になるところです。特にバディ映画は刑事ものが多く、一度は観ておきたい傑作がたくさんあります。そこで「バディ×刑事」に絞って厳選しましたので、興味のわいたかたはぜひチェックしてください。紹介する映画はU-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ、dTV、Netflixなどの各動画配信サイト(VOD)で配信されています。

 

1.「デンジャラス・バディ」
女性が主人公のバディ映画!マジメFBIと不良警官のタッグ!

「デンジャラス・バディ」は、マジメなFBI捜査官のアッシュバーンと荒っぽい不良警官のマリンズが、麻薬捜査のためにタッグを組むアクションコメディです。バディもの刑事映画の主人公は男性であることがとても多いですが、本作は2人の女性が主人公である希少な映画です。女性目線での仕事との関わりかたや恋愛、友情の築きかたにフォーカスしており、「男同士の友情」では観られなさそうな会話劇や物語の展開を楽しむことができます。また、バディ映画の醍醐味である「最初の仲の悪さ」は他作品と比べてもなかなか尖っており、「どうやったら仲が良くなるのだろう…」と、本筋の物語と同じくらいハラハラさせられます。

ここがおもしろい!
アッシュバーンとマリンズは一目見ただけでも「絶対に馬が合わない」と思わせるほどに対照的な存在で、イヤミを言い合う腐れ縁の友人ようなバディ関係になっていきます。アッシュバーンは汚い言葉を使わない育ちのいいキャリアウーマンで、イヤミを言うときには遠回しな言い方をします。一方マリンズは含みを持たせず、NGワードも含めて何でもストレートに発言する、誰よりも豪快な人です。そんな2人の数少ない共通点は、周囲の人たちから疎まれていること。実は2人とも孤独な存在なのです。ですが、お互いに一歩も引かない「我の強さ」という共通点もあるのでなかなか溝は埋まりません。「捜査どころじゃない!」という状態でひたすらドンパチ騒ぎが起こっていく様子がとても面白いです。ぜひご覧ください。

 

あらすじ

アッシュバーン(サンドラ・ブロック)は、誰よりも事件を解決する有能な敏腕FBI捜査官であるが、生真面目で融通が利かず、傲慢な性格も相まって同僚から白い目で見られていた。そんな彼女にボストンの麻薬組織を捜査する命令が下り、出張することになった。現地で協力することになったのは地元の市警察の女性刑事マリンズ(メリッサ・マッカーシー)。マリンズはガサツな不良警官でアッシュバーンとは正反対な性格の持ち主だった。事あるごとに衝突しあう彼女たちは麻薬捜査を解決することができるのだろうか。

 

2.「ブラック・クランズマン」
衝撃的な実話!白人至上主義団体に潜入したのは黒人!?!

「ブラック・クランズマン」は、黒人刑事のロンが白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」に潜入するというノンフィクション小説を基にした映画です。「マイノリティ歓迎」を掲げている警察署にロンは入社するのですが、実際はロンが初めての黒人刑事という実態がありました。白人しかいない警察署は黒人差別の言葉で溢れかえっており、ロンは不愉快な気持ちを押し殺しながら、仕事に従事しています。このように黒人差別をテーマにした映画のように思えますが、実は「白人差別」も入っているのが本作の特徴です。白人警官による不当な扱いにヘイトを募らせた一部の黒人たちは過激派となっており、「白人差別」の言葉が交わされます。ロンはそのことにも違和感を覚え、「ブラックパワーvsホワイトパワー」の中間で揺れ動くことになっていきます。

ここがおもしろい!
ロンとバディとなるのは白人のフリップというユダヤ人です。KKKはユダヤ人差別もしているため、彼らは「KKKから差別される者同士」として思いをひとつにし、共闘関係のバディになります。電話はロンが担当し、フリップはKKKのメンバーと直接会う、というふうに役割分担をして、ひとりの人物を2人で演じるという奇抜な作戦に出ます。しかし、物語冒頭のほうではフリップはロンほどにこの作戦に乗り気ではありませんでした。ユダヤ人差別に不愉快な思いを抱きはするものの、彼は敬虔なユダヤ教徒ではないため闘志が強く燃えることはなく、それに加えて、新人であるロンに指示を出されること、命まで賭けることになるなど、フリップのモチベーションは高くありません。そんなフリップをロンが説得し、徐々にバディとしてコンビネーションがとれていく活躍に目が離せない映画です。基本的にコメディタッチなので、重いテーマのわりに観やすくて笑える映画です。

 

あらすじ

舞台は1970年代のアメリカ・コロラド州コロラドスプリングス。そこにある警察署でロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は初の黒人刑事として採用されるも、署内で冷遇される彼は資料室の当番というつまらない仕事をあてられてしまう。上司に仕事を変えるよう直訴すると、潜入捜査官として黒人解放運動の過激派の演説イベントに潜入することになった。そこでの功績が認められ、情報部に転属すると、次に彼が目を付けたのはKKKという過激派の白人至上主義団体。自らが黒人でありながらも徹底的な黒人差別の発言を繰り返し、入会の面接まで漕ぎつけることに成功。同僚のフリップと協力しながら潜入捜査を進めていく。

 

3.「ズートピア」
ウサギは弱い?キツネはずるい?偏見に打ち勝つ痛快アニメ!

「ズートピア」は、史上初のウサギの警察官となった主人公ジュディが、キツネの詐欺師のニックと共に行方不明事件を追うディズニーアニメです。タイトルはユートピア(理想郷)とズー(zoo,動物園)を組み合わせており、舞台である同名の街には様々な動物が共存しています。これまでもディズニーは「ダンボ」や「101匹わんちゃん」のように様々な動物たちを描いてきましたが、本作は一種や二種ではなく、まさしく動物園のように多種多様な動物たちが登場します。動物のサイズごとに合わせた規格のデザインが面白く、たとえば電車や店のドアは大中小に分かれていて、背の高い動物からネズミのように小さい動物まで利用できるようになっています。また、ナマケモノは言動が全てゆっくりしているなど、動物の生体を活かしたキャラクター設定も注目ポイントです。

ここがおもしろい!
ジュディとニックは偏見を持たれている動物同士として結託し、恋愛関係にも見えるバディ関係になっていきます。動物たちは進化によって肉食動物と草食動物が共存できる環境を作り出しましたが、力関係は以前として肉食動物が上のままという実態があり、それは差別に繋がっていました。ウサギのジュディは草食動物なので、「小さくて弱い 」から警察官は務まらないという偏見を持たれているのです。捕食者・被捕食者の関係のほかにも「キツネはずるい」と、肉食であっても色眼鏡で見られて虐げられたりと、共存はしているものの平穏ではない社会です。そんな社会を是正するためにジュディはバディのニックと共に事件解決のために奔走するという、大人が観るとかなりストレートに現実社会の風刺をしていることに気が付く痛快なアニメです。とてもいい作品ですので、ぜひご覧ください。

あらすじ

どんな動物も争うことなく暮らすことができる環境になった世界。動物たちには決められた役割があり、ウサギは農場でニンジン作りに従事する務めだった。しかし、ウサギの女の子ジュディは、大きくて強い動物だけがなれる警察官に憧れていた。やがて彼女は警察学校を首席で卒業し、史上初のウサギの警察官として大都会ズートピアにやってきた。しかし、スイギュウの署長ボゴは、ジュディがウサギだからという理由で能力を正当に評価しようとしなかった。なんとかして認められようと奮闘するジュディは、キツネの詐欺師ニックと出会い、あるきっかけでニックと共にカワウソの行方不明事件を追うことになった。

 

4.「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」
エリート警官の左遷先はド田舎!この村で事件は起こらない?

「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」は、エリート警官の主人公エンジェルが平穏な村に左遷させられるというアクションコメディです。ロンドンで様々な事件を解決してきたエンジェルは堅物がすぎるほどにマジメな警官です。そんな彼の左遷先の村はこれまでの環境とまったく違うところでした。未成年の飲酒や万引き犯は「まあまあ、いいじゃないか」と見逃し、村民から受ける通報の内容は「飼っている白鳥が逃げ出した」「生垣を勝手に切られた」など、ロンドンと比べると雰囲気も牧歌的で緩すぎるのです。それでも厳しく取り締まっていく彼はこの村でも浮いた存在になってしまいます。しかし、浮いた存在だからこそ、一見平和に見える村の隠された実態が徐々に見えてきました。それは、明らかな殺人事件が起きても皆が口を揃えて「事故だ」と言い張るからです。「意図的に事件をなかったことにしているのではないか?」と、エンジェルは疑惑を募らせ、物語はサスペンス的になっていきます。

ここがおもしろい!
エンジェルのバディとなるのは、彼に憧れを抱くようになったマヌケそうな雰囲気のダニーという青年です。ダニーは彼を真似して色々なことを学ぼうとし、いつの間にか先生と生徒のような関係のバディになっているのが面白いです。生まれも育ちもサンドフォードのダニーはこれまで大きな事件に遭遇したことがなく、マジメに働く雰囲気も周囲にもないため、警官らしい仕事をしたことがほとんどありません。そんな彼の趣味はアクション映画を観ること。エンジェルに銃撃戦やカーチェイスの経験があることを知ると、アクション映画が大好きなダニーは、彼のようになりたいと憧れます。それに対してエンジェルは「映画と現実は違う」と突き返したりするものの、段々とダニーを認めてバディとして活躍していく友情劇にグッときます。

 

あらすじ

大学は首席卒業、警察学校はトップの成績を残し、幾度もの表彰を受けたスーパーエリート警察官のニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)が、ロンドンの首都警察から田舎のサンドフォードに左遷されられてしまう。余りの有能さゆえに上司や同僚から迷惑がられていたのだ。犯罪などほとんど起こらないサンドフォードでエンジェルを待っていたのは、呑気でいいかげんな仲間たちと共に退屈な仕事に従事するばかりの日々。しかしある事件をきっかけに、平穏そうな村に潜む何かに気づきはじめる。。

 

5.「セブン」
事件の鍵は七つの大罪!映画史に残る名悪役に注目!

「セブン」は、若手刑事のミルズとベテラン刑事のサマセットが、「七つの大罪」に基づいて行われる殺人事件の捜査を行うサイコ・サスペンスです。「七つの大罪」とはキリスト教において罪を誘発する悪しき感情、欲望などを指す言葉で、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲の7種類が挙げられています。独特な動機で行われる犯行と、予想がつかないストーリー展開が特徴の映画で、特にダークな雰囲気の映像と音楽がかっこいいオープニングタイトルは大きな見どころのひとつです。監督を務めたのはデヴィッド・フィンチャー。彼は前作の「エイリアン3」で大失敗しましたが、本作の大ヒットにより映画界に返り咲くことになりました。その後、「ベンジャミン・バトン」や「ゴーン・ガール」などのヒット作を飛ばしていき、映画界で知らぬ人はいない巨匠となりました。

ここがおもしろい!
仕事に熱い想いを持った若手と、社会への疲労感が拭えないベテランという、父と子ほどに歳が離れた2人のバディ映画です。最初は距離感のある関係でしたが、ミルズが「七つの大罪ってなに?」といった様子なので、サマセットがやれやれと「これはこういうことだ」とアドバイスをすることになります。また、ミルズの奥さんが食事に誘って仲を取り持ってくれたおかげで、2人は互いをバディとして認め合っていくようになり、ときには笑顔を向けあう瞬間もしばしば見せるように。その一方で連続する犯行を止めることはできず、犠牲者の数がだんだんと7人に近づいていきます。2人の関係が友人に近づいていく温かい雰囲気と、冷酷な殺人事件が交差しながら物語が進み、衝撃的なラストに向けて一気に収束していく傑作サスペンスです。犯人は映画史に残る名悪役なのですが、少しでも触れるとネタバレになってしまうので、ぜひ期待しながらご自分の目でご覧になってください。

 

あらすじ

退職を間近に控えたベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と若手刑事ミルズ(ブラッド・ピット)が向かった死体発見現場は異様な光景だった。死体は信じられないほど肥満の男であり、銃を突きつけられながら無理やり食事をさせられていたと検死で判明したため殺人と断定された。以降も怪奇的な殺人事件が発生。犯行現場には「暴食」「強欲」などの文字が書き残されていたため、サマセットはこの事件が「七つの大罪」に基づいて行われいることに気が付き、ミルズと共に犯人へと迫っていく。

 

まとめ

以上、「深まっていく友情にグッとくる!バディもの刑事映画5選」でした。馬が合わなそうな人と離れたくても離れられないという状況は、私たちもどこかで経験がある通りなかなかしんどいものですが、バディ映画ではそれを打破して友だちになります。それが一番望ましいですよね。そんなコミュニケーションの術を学べるのもバディ映画のいいところだと思います。紹介した映画以外にも傑作はたくさんありますので、ぜひ色々な作品をご覧になってください。