シネコンや画面越しでは味わえない「ミニシアター/名画座」と呼ばれる小中規模の映画館の魅力にハマった映画好きのe-NAVITAスタッフのKが、実際に訪問した中からおすすめの「ミニシアター/名画座」をご紹介するこの連載。

今回は映画紹介編として「リアル過ぎて心震える!実話をもとにした(ノンフィクション)映画5選」を紹介します。「そんなこと現実にはあり得ないよ」と思っていたストーリーが、実話をベースにしていると知って驚いた経験はあるでしょうか。「ほんとうにあったことなんだ」と感慨深くて見ごたえがある作品をセレクトしましたので、気になるかたは是非チェックしてみてください。また、紹介する映画はU-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ、dTV、Netflixなどの各動画配信サイト(VOD)で配信されています。


実話をもとにしたノンフィクション映画

1.「ドリーム」
NASAの宇宙計画を支えた黒人女性3人の勇気と感動の実話!

「ドリーム」は、アメリカ人初の地球周回飛行を陰で支えた3人の黒人女性の活躍を描いた映画です。この周回飛行の成功によってアメリカに強い希望がもたらされ、ロシアとの宇宙開発競争において大きな節目となりました。 ロシアの人工衛星の打ち上げによって、本格的に宇宙開発競争に火がついた1960年代の初頭。バージニア州にあるNASA(アメリカ航空宇宙局)の研究所では、ずば抜けた数学的才能をもつ3人の黒人女性が働いていました。 しかし当時のバージニア州は人種分離政策がまかり通っており、バスの座席やトイレ、水飲み場などが白人種用と有色人種用で区切られている有様。有能でありながらも人種差別によって業績が認められず、そこに女性差別も加わって、彼女たちは自身の夢の達成が阻まれています。それでも3人は諦めずに夢を追い続け、ついには歴史的な偉業を成し遂げることとなり、差別の理不尽さに一石を投じたのです。差別という重いテーマでありながら、彼女たちのチャーミングさのおかげで、コミカルな明るい雰囲気になっています。笑いながら爽快感も味わえる映画を鑑賞されたいかたは「ドリーム」がおすすめです。

あらすじ

1961年、アメリカはロシアとの熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない計算を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー(オクタヴィア・スペンサー)、エンジニアを目指すメアリー(ジャネール・モネイ)も、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていく。

2.「レナードの朝」
患者にとっての幸せとは?心を強く打つ名作中の名作!

「レナードの朝」は、1人の医師が嗜眠性脳炎(しみんせいのうえん)という難病の治療法を見つけるために、奮闘する映画です。嗜眠性脳炎は覚醒することが困難になり、眠った状態が続く病気です。舞台となっている1969年のニューヨークでは治療法は見つかっていませんでした。主人公の医師はこの難病患者と、動くことも話すこともができない神経病患者を担当することになるのですが、実は専門分野が研究であるため、臨床に関する経験はまったくないのです。そんな経歴の人が患者を診るというだけでも異例ですが、患者数は1人や2人ではなく、なんと20人をまとめて担当します。これは病院側が患者たちに対してさじを投げており、主人公には何の期待もしていないことを暗に示しています。このように「何をしても変わらない」という諦めの空気が病院に蔓延しているのですが、それでも主人公はこの病気に挑み、真摯な態度で患者の治療法を模索していきます。その医師の姿はとても勇ましく、心を強く打つほど感動的です。しかし、現実問題として前例が無い治療法には危険が伴うため、とてもハイリスクな挑戦であることは間違いなく、一番大事な患者の意思については、話すことができない彼らに訊くことができません。いくら人を想う心があっても「何が患者にとっての幸せなのかはわからない」という難しすぎる選択が医師と患者の親族の目前に迫ります。人間の強さ、優しさ、哀しさ、弱さが全て描かれており、主演のロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの演技力が遺憾なく発揮され、いくら語っても語り足りない名作中の名作が「レナードの朝」です。ぜひご覧ください。

あらすじ

1969年、ニューヨークのブロンクスにある慢性神経病患者専門の病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)は、話すことも動くこともできない患者たちに反射神経が残っていることに気づき、訓練によって彼らの生気を取り戻すことに成功する。ある日彼は、30年前にこの病院に入院して以来ずっと眠り続けている嗜眠性脳炎の患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)に、まだ認可されていないパーキンソン病の新薬を投与する。

3.「最強のふたり」
笑って泣ける!何もかも正反対の二人が織り成す痛快コメディ!

「最強のふたり」は、スラム街に住む貧しい黒人青年ドリスと、全身麻痺で車椅子生活を送る大富豪フィリップの日々を描いた映画です。フィリップは住み込みの新しい介護人を雇うため、候補者の面接を行ったところ、開口一番に「失業保険がほしいから不採用にしてくれ」と言ったドリスのことが気に入り、彼を雇います。フィクションの作品だったとしても 「出来すぎじゃないか?」と感じてしまいそうなファーストコンタクトですが、これが実際にあったことなのですから驚きです。ドリスは当然のごとく介護の経験もなければ、障害者をまったく気遣わない言動でフィリップと接します。対してフィリップは同情のかけらも見せないその接し方のおかげで、障害者と介護人という関係ではなく、対等な友人関係になれることに喜びを感じ、2人は友情を築いていきます。社会的立場も芸術の趣味も正反対の2人が、互いをおちょくるような掛け合いはブラックジョークも交わって面白く、終始笑って鑑賞できます。明るいノンフィクション映画が観たいかたには「最強のふたり」がおすすめです。

あらすじ

パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年ドリス(オマール・シー)の交流を、笑いと涙を交えて描く。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。

4.「アルゴ」
ハラハラが止まらない!映画撮影を装って人質を脱出させた大作戦!

「アルゴ」は、イランアメリカ大使館人質事件の救出劇を描いた映画です。イランの首都テヘランにあるアメリカ大使館が過激派に占拠され、大使館員52人が人質となり、占拠される直前に脱出できた6人がカナダ大使の私邸に身を隠しました。CIAの工作官である主人公が後の6人を救出するべく計画を立案します。その計画内容とは、「アルゴ」という中東を舞台にした架空のSF映画の製作をでっちあげ、6人をその撮影スタッフに偽装して出国させようとするものでした。作中でも「ふざけてるのか」と言われるこの計画ですが、実際の出来事なのですから「事実は小説より奇なり」とはまさにこのことだと思います。面白いのは、でっちあげであることがバレないように本物の映画監督とメイクアップアーティストに協力を依頼し、脚本、役者、衣装、記者会見の場なども用意する徹底さ。計画関係者以外は全員騙されています。「いつ素性がバレるか」とハラハラするシーンが連続し、ハリウッドをも巻き込んだ怒涛のサスペンス劇にのめり込んでしまうこと間違いなしです。

あらすじ

1979年11月4日、イラン革命が激化するテヘランで過激派がアメリカ大使館を占拠する。52人が人質になるが、混乱の中、6人のアメリカ人が自力で脱出。カナダ大使の自宅に身を潜める。CIAで人質救出を専門とするトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6人を安全に国外へ脱出させるため、大胆不敵な作戦を立案。「アルゴ」という架空のSF映画を企画し、6人をその撮影スタッフに偽装して出国させようとする。

5.「運び屋」
90歳のおじいちゃんが麻薬の運び屋に!?前代未聞の実話!

「運び屋」は、仕事一筋で生きてきた90歳の老人が麻薬の運び屋をすることになる映画です。車でノロノロと走っている90歳の老人が運び屋だとは麻薬捜査官も考えが及ばず、見逃している間に大量のコカインが運ばれていたという、2011年に起きた出来事を元ネタにしています。主人公は前時代的な価値観を持っている人で、商売の近代化には後れを取り、家庭をないがしろにして仕事に没頭してきたため家族とは疎遠状態にあり、今や破産寸前の独居老人となってしまいました。主人公は新しく始めた運び屋をしながら、自分の人生を反省的に振り返って、「どのように人生を総括して退場するか」を考えます。絶えない自問を通して見えてくる「やるべきこと」とは何か?言葉にするのが難しいくらい、身に染みるメッセージを伝えてくれるストーリーです。そして、これだけ重厚なストーリーでありながら、基本的にコメディなのでとても観やすいのが本作の特徴だと思います。ボロのトラックから高級車に乗り換えたり、パーティに参加して女性をナンパしたり、若い人から「おじいちゃん、それは古いのよ」と最近のトレンドを教えてもらったりと、コミカルなシーンが連続する微笑ましい作品です。

余談ですが、主演・監督・脚本を務めたクリント・イーストウッドは脚本執筆時に、元ネタとなったレオ・シャープ氏の私生活を調査したところ、詳しいことが判明しなかったので自身の生活を重ねました。そのためイーストウッドの自伝映画的要素が盛り込まれ、主人公の娘役として出演している女性はなんとイーストウッドの実の娘です。

あらすじ

家族をないがしろに仕事一筋で生きてきたアール・ストーン(クリント・イーストウッド)だったが、いまは金もなく、孤独な90歳の老人になっていた。商売に失敗して自宅も差し押さえられて途方に暮れていたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられたアールは、簡単な仕事だと思って依頼を引き受けたが、実はその仕事は、メキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だった。

まとめ

以上、「リアル過ぎて心震える!実話をもとにした(ノンフィクション)映画5選」でした。ノンフィクションとは思えない作品ばかりだったのではないでしょうか。事実をもとにしていても脚色されている部分がありますので、実際の出来事について調べてから映画を観たり、鑑賞後に映画と実際の出来事の違いを調べてみるのも面白いですよ。