コウテイペンギンは、マイナス60度という過酷な環境でも家族で協力して子育てする動物です。
そこから名前をつけた『長崎ペンギンの会』は、22年前から難病と闘う子どもと家族を支えて続けてきました。

その拠点となる新たな施設『ペンギンハウス』が2023年5月にオープン。
地元の銀行が 店舗統合で空き店舗となった建物を改装した宿泊施設です。
離島が多い長崎県で支援を続ける訳とは──

利用料は1日1部屋 1,000円

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難病と戦う子どもとその家族を支援しようと、2023年5月2日、長崎大学病院の近くにオープンした施設の名前は『十八親和ペンギンハウス』

きっかけとなったのは、20年以上にわたって難病の子の支援を続けている男性の存在でした。

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『十八親和ペンギンハウス』は小児がんなど 難病の子どもと その家族が利用できる宿泊施設で、十八親和銀行の空き店舗を改装しています。

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中には、バリアフリーの風呂とトイレがある部屋や、和室など合わせて5つの部屋があり、ランドリールームや 共用キッチンも備えています。

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利用料は1日1部屋1,000円──割安な設定には理由があります。

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十八親和銀行 山川 信彦頭取:
「離島を有する長崎県は、遠方から治療に通わざるを得ない子どもがたくさんいます。
交通費や宿泊費など、経済的負担はもちろん、肉体的負担や、精神的負担が非常に大きいという問題がございます」

長崎大学病院の患者には『小児がん』や『消化器疾患』など 難病を抱える子どもも多く、外来と入院を合わせると、その数は年間およそ1,900人に上り、中には1年間にも及ぶ『長期入院』を余儀なくされるケースもあります。

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その負担を減らそうと十八親和銀行は、長崎市で難病の子と家族の宿泊を受け入れる活動を続けている野添 恭士さんと協力。
施設は銀行が無料で貸し、運営は野添さんたち『長崎ペンギンの会』が行います。

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長崎ペンギンの会 野添 恭士 代表理事:
「理想通りの宿泊施設ができたと思います。(利用者は)もう感激されると思います」

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施設名の『ペンギン』はマイナス60度の “過酷な環境” でも 家族で協力して子育てするコウテイペンギンから取りました。

『長崎ペンギンの会』始まりは22年前

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長崎ペンギンの会 野添 恭士 代表理事
「ここが元ペンギンハウスです。ここは16年ぐらい使っていました」

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長崎市上西山町の一軒家。
野添さんは22年前にボランティア団体『長崎ペンギンの会』を立ち上げ、夫婦で “難病の子と家族” を受け入れてきました。

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きっかけは次女の亜美ちゃんを病気で亡くしたことでした。

長崎ペンギンの会 野添 恭士 代表理事:
「私の娘が小児がんで、長崎の大学病院に入院してたっていうこともありますし、五島から来て入院していたお子さんもいらっしゃいました。
近くに宿泊施設があれば、そこで家族が過ごすっていうことができるのかなと」

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延べ数百組の家族を受け入れてきた野添さんには “宝物” があります。
利用者からの感謝の言葉が綴られたノートです。

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長崎ペンギンの会 野添恭士代表理事:
「私も妻も仕事をお互いしてましたので、なかなか大変なこともありました。
でも、これを見るたびにまた頑張ろうっていう気になりました。
これがなかったら多分、16年も続けられなかったかなと思っています」

ボランティアで支える運営

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施設には5月14日までに五島などから 10件の予約がありました。
施設は無料で借りていますが、運営費用は寄付で賄わなければならず、ミーティングをしているスタッフは全員ボランティアです。

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長崎ペンギンの会 山田 洋子さん:
「元々 私、自分自身で不登校の子との世話とかで 法人を立ち上げてやってたんですけど、それはもう終わったので、一休みしようと思ってたところに お話があって。すごいことをやってらっしゃるなと思って手伝うことにしました」

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長崎ペンギンの会 里 一美さん:
「教職員だったんです。(野添さんの活動は)とても自分ではできないと思っていました。ここにおられる時にはホッとした気持ちでゆっくりして頂きたい」

思いが形に── どうしても欲しかった “和室”

設計段階から施設の改装に関わった野添さんが どうしても作りたかったのが『和室』です。

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長崎ペンギンの会 野添 恭士 代表理事:
「ご家族の方たちがもう、ホテルではちょっと足を伸ばしたりしてくつろげなかったんだけど(旧ハウスは)畳の部屋だったので、もう本当にゆっくりできましたっていう感想を言われてたので」

家庭の味を 家族みんなで味わいながら、自宅のようにリラックスできる場所にしたい ──野添さんの思いが形になりました。

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長崎ペンギンの会 野添 恭士 代表理事:
「いっぱいいっぱいになってる時にここでゆっくりしてもらって、そのストレスを解消してもらう。
第2のわが家っていう形でリラックスして、家に帰ってきた雰囲気で、使ってもらいたいなと」

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難病の子どもと家族が羽を伸ばして、いつか元気に巣立っていけるように。
生まれ変わったペンギンハウスが病気と闘う子どもと家族を優しく支えます。

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十八親和ペンギンハウスの運営は寄付で成り立っています。
野添さんたちは施設を存続させるため活動への協力を呼びかけています。

振込先:
十八親和銀行 浦上駅前支店
普)3082766
名称:長崎ペンギンの会