今年4年ぶりに奉納踊が行われる長崎市諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」の踊町を紹介するシリーズ「復活!奉納踊」
今回は唯一無二の演し物として人気を博す万屋町の「鯨の潮吹き」です。

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ヨッシリ ヨイサ!

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男たちが曳き回すのは重さ2トンのセミクジラです。
10年ぶりに諏訪の大海原へ繰り出します。
万屋町「鯨の潮吹き」は江戸時代の鯨捕りの物語です。

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藤野為信 万屋通り町会 会長:
「一回一回ね。レベルを上げていくことが大事だと思うんで、必ずやってくれると思います」

鯨で町が一つに

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江戸時代、魚問屋が集まり栄えた万屋町。
繁華街に姿を変えた今も、鯨は町のシンボルです。

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長崎くんちで鯨曳きが始まったのも江戸時代です。
肥前唐津 呼子の鯨組の人たちの勧めで、およそ250年前から続いています。
“鯨”を奉納する町は他になく、多くのくんちファンの心を掴んでいます。

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かけ声:よっしーり よぉいさー よっしり よいさ

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甲高く 勇ましい大船頭の美声で魅了

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祝い唄(勇み歌):おーセミよーセミよー

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鯨捕りは、羽差船、持双船などの5艘の船団で行います。
親爺船に乗り込む “大船頭” の大役を担うのは小学5年生の浅野正宗さんです。

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祝い唄(勇み歌):よーっしりよいーさ

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その姿を見守るのは、父・光明さんです。
万屋町で美容室を営む光明さんは、根曳として2回目の出演。
親子で臨む大舞台です。

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浅野光明さん:
「今回は大きな役をいただいたんで僕も楽しみですし、息子もこの経験がまた何かしらに活きてくると思いますから。
せっかくいただいたご縁なので一生懸命頑張って(欲しい)」

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浅野正宗さん:
「ちゃんと練習もして、最高なくんちを迎えたい」

回るときに軸がずれる…

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9月3日。本番の舞台のひとつ、諏訪神社で、稽古の仕上がりを試す最後の機会です。

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総監督 池上淳一さん:
「最初の一発目 ”よォ”が弱いから怒られる。一つはね。その “よォ”を強く言うとほんとに(声が)出てると感じる」

鯨を曳くのは綱のみ ”押す+引く”の気持ちをいかに合わせるか 

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鯨とつながるのは綱のみ。
一箇所で勢いよく動かすには、重心を低く抑え、『鯨を押す力』と『綱で引く力』をうまく合わせなければいけません。

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この日は鯨を回すタイミングが合わず、回転する軸がぶれてしまう課題が見つかりました。

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「原因は何と思う?」
「ひゅーどーんっていくのに、ひゅー…どーんって感じ」
「止まった感じでどーんといってるから勢いを殺してしまっている」
「当たりがバラバラ」

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鯨を『押す力』で重要なのか “尾羽尻(おばち)”と呼ばれる鯨の尾の間に立つ根曳です。鯨の進行方向を細かく調整します。

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大橋一功さんは子どものころ大太鼓を担当、今回は2回目の根曳として重要な役割を任されました。

大橋一功さん:
「今までやってきた人よりも、ちょっと歳が上でやるということで、体力面でもうまくやれるか不安は結構ありました。周り前後の人に助けられて今はやれていると思います」

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18人の根曳衆が心を一つにして理想の動きを追い求めます。

2人が息を合わせ潮を高く美しく吹く

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高々と吹き上がる鯨の潮は演し物の見せ場の一つです。

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その水を貯めているのは鯨の腹の中にあるタンク。
竜吐水と呼ばれるポンプを2人がかりで操作しています。

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有谷信之介さん:
「ポンプが2本ありますので、2本同時に上がらないと水が少なく見えてしまう。2本上がることでより大きく潮を吹く形になるのでそこを合わせるようにしています。
根曳きの方たちがしっかり回すところを私たちがしっかり潮を上げることでよりきれいな奉納をできたらいいなと思います」

井上俊輔さん:
「潮を高く上げて息をぴったり合わせて頑張っていきたい」

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総監督 池上淳一さん:
「万屋町らしい、いい奉納を粛々としながらも “鯨捕り”っていう演技をしたいと思います」

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万屋町の鯨の潮吹き──
夏場の稽古に耐えた根曳衆がみせる“鯨曳き”は、10年間待ちわびた長坂の期待に必ずや応えてくれるはずです。