公立中学校の新たな取り組みがいま注目を集めています。伝統的なイメージとは一線を画す 長崎市立長崎中学校が率先して挑む『教育改革』です。
『不確実』『予測困難』ともいわれる”次の時代”を、自ら考え、生き抜く力をつけるため、生徒の主体性やコミュニケーション能力を重視した授業が行われています。

住吉光アナウンサー:
中学校の授業というとどんなイメージがありますか?

豊崎 なつきアナウンサー:
小学校に比べると科目数も増えて、やはりテストが忙しくなりますよね。

住吉アナ:
私も含め、大人の皆さんにはそういうイメージの方が多いのではないかと思いますが、実はいま、教育現場では “かつてのイメージ”を覆すようなプログラムを取り入れる学校が出てきています。

そのうちの一校で、生徒たちが「この時代を生き抜くための力”を育てよう」と、“教育改革”に挑んでいる長崎市の中学校を取材しました。

授業では生徒同士が毎回 議論

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(住吉アナ)宿題は?
生徒:「ありません」
(住吉アナ)定期テストは?
生徒:「ありません」

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既存の学校教育の枠にはまらず、ユニークな取り組みを続けている中学校が長崎市にあります。

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長崎市立長崎中学校 種吉信二校長:
「子どもたちに求めているところは“主体性”なんですね。自立っていうかな」

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掲げられた学校教育目標(みんなのゴール)は『自ら求めて学ぶ』

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生徒数194人の長崎市立長崎中学校では『しなやかに考え、諦めずに挑戦すること』を目指しています。

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「気を付け、礼」
「お願いします」

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1年生の国語の授業です。

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教員:「よしじゃあ2分、時間をあげます、近くの人と話し合いながら」

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5教科の授業では、毎回 “生徒同士の議論”が行われます。

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この日は、“4つの単語(意欲・困難・感激・危険)を使った文章作り”にチャレンジ。解答が思いつかない子には生徒同士でアドバイスをします。

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生徒:「(4単語じゃなくて)2個でいいから作ってみたら?」
生徒:「登るときは“困難”だったけど、頂上に着いて“感激”した。」
生徒「おぉ〜」

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分からないときは生徒同士でまず相談──それは他の授業でも同じです。

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理科の授業中の生徒(中1):
「最初の方だけ先生から説明されて、あとはみんなで進めた方が理解も深まるし、次からの実験で効率よくみんなで進められると思います」

“定期”ではなく“単元ごと”のテスト

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改革を始めたのは4年前に赴任した種吉信二校長です。成人年齢が18歳に引き下げられ、生徒の主体性を育てることが必要だと考えたためです。

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長崎市立長崎中学校 種吉信二校長:
「《学習面》と《生活行動面》で先生方が、子どもたちの様子を分析してるんですね…“根っこの課題”をはっきりさせようと。逃避するとか、あるいは諦めるとか(が課題と分かった)。それらを解決するために “しなやかに考え、諦めずに挑戦する生徒”っていう言葉を作った」

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大きく転換したのが──
(1)宿題
(2)定期テストの廃止です。

『宿題』と『定期テスト』を廃止する代わりに導入したのが『単元ごとのテスト』です。

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範囲が狭く、授業の内容を覚えているうちにテストがあるため、生徒たちの理解も深まり、理解できたことで“学ぶ意欲”がわくという好循環が生まれるといいます。

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生徒(中2):
「宿題がないからこそ自分が苦手な所を自分のやり方で学べるというのはとてもいい所だなと」

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生徒(中2):
「長崎中学校に来て自分で(勉強)することが増えたので、より自分のためになるのではないかなと」

成績も上々…教員の負担は

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授業で理解できない部分をサポートするのがパソコンです。県内すべての市立小中学校で1人1台が割り当てられています。

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長崎市では「Qubena(キュビナ)」と呼ばれるAI教材を導入し、AIが各生徒に合わせて最適な問題を出題し、先生は端末上で生徒の理解度を把握できます。

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気になるのは先生の負担ですが…

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長崎中学校 山口花奈教諭:
「大変だなというよりかは、どうやって子どもたちに楽しさを伝えるかっていうのを考えるのが、個人的には楽しいです」
「(昔は)授業中に喋っていいとかっていう雰囲気の授業が少なかったので、もし私が今子どもとして授業を受けてたら、もっと楽しめていろんなことにチャレンジできたんじゃないかなって」

改革当初は保護者から不安の声もありましたが、説明会などを通して少しずつ理解を得てきました。

ちなみに成績はというと…

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長崎市立長崎中学校 種吉信二校長:
「いいんですよ。全国学力学習状況調査。3年生であるんですけども、これももう常に全国平均を上回ったり」

異動がある公立中の教員間で“やり方を変える意味”をいかに引き継ぐか

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一方で、教育改革を続ける難しさもあります。長崎中学校と同様に『定期テスト』を『単元テスト』に変えるなどの改革を進めている大阪の中学校では…。

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大阪市立新巽中学校 大室敦志教諭:
「始めてから5年目になるんですけれども、その変わった経緯を知らない教員も増え、半分以上がそうなってきまして、何も分からずにただ沢山テストが増えているだけ、そんな声も聞こえてきまして」

教員の異動がある公立中学校。大室教諭は「なぜ既存のやり方を変えるのか」という部分を教員同士のコミュニケーションで受け継いでいく必要があると感じています。

大阪市立新巽中学校 大室敦志教諭:
「忙しいを言い訳にしてはいけないんですけれど、そういう機会(コミュニケーション)を持てる事が少なくて、共通理解を得るためには、話をすること=対話が大事だなとやっていく中でずっと思っています」

“漫才”や“商品開発”でコミュニケーション能力を高める

長崎中学校では、勉強以外でも自主性を育む取り組みが進んでいます。

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「避難訓練の時に使うおかしって知ってる?」
「それはもう定番過ぎて。誰でも知ってますよ」
「じゃあ教えてよ」
「えっと………」
「いや なげーよ!」

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漫才を通してコミュニケーション能力を高める特別授業です。

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さらに地域活性化を目指す授業では、生徒だけで事業を考え、プレゼンする大会を開きました。

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上位のグループは実際に株式会社化して商品を作り、店での販売にもこぎつけました。

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商品化に携わった生徒(中2):
「私たちの会社は石丸文行堂さんとコラボしたりして、最後まで活動ぎりぎりまでやれてとてもよかった」

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長崎市立長崎中学校 種吉信二校長:
「どこをよくしていけば それが上手くできるのかなとかということを考えて、それを繰り返し繰り返しやっていく。昨日の自分よりも今日の自分。自分(の成長)を楽しめる、そんな子どもであって欲しい」

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子どもたちに求められる能力が変化する中で公立中学校が挑む教育改革。生徒に向き合う教育の根幹は変えずに、教育現場には柔軟な対応が求められています。