明るい陽射しが、午前中は重だった中山の芝コースを稍重のコンディションに変えていた。

 第81回皐月賞の出走馬16頭がゲートを飛び出した。

 先手を取ると見られていた13番タイトルホルダーと、すぐ内のワールドリバイバルが好スタートから先頭をうかがう。

 1番人気に支持された川田将雅のダノンザキッドも速いスタートを切って先行する。横山武史が乗る2番人気のエフフォーリアもポンとゲートを出て、ダノンザキッドの内に併せるようにして1コーナーへと入って行く。「人気もありましたし、プレッシャーもすごかったんですけど、自分が持てるだけの技術を発揮して、この馬の能力をしっかり発揮できれば絶対勝てると自分に言い聞かせて勝負に臨みました」

 そう話した横山は、無理に外に出そうとはせず、馬のストライドを自然に伸ばしてやるように内目を回っている。

 1、2コーナーを回りながら、ワールドリバイバルが単騎でハナを切る格好になった。2番手はタイトルホルダー。

 直後にエフフォーリア、その外にダノンザキッドがいる。

 向正面に入った。エフフォーリアは、横山が手綱を引かなければならないほどの手応えだ。それに対し、レース前から発汗が目立ち、掛かることが心配されたダノンザキッドはさほど行きたがっていない。

 前半1000m通過は1分0秒3。先頭から最後尾まで10馬身ほどだ。

 馬群は3コーナーへ。エフフォーリアは先頭から2馬身ほど後ろの内にいる。3、4コーナー中間地点でダノンザキッドが馬場のいい外目から進出して行く。

 エフフォーリアは、雁行状になった先行馬の後ろで前が開くのを待っている。

 4コーナー出口から直線入口にかけて、前にいた内のワールドリバイバルの手応えが悪くなり、その外のタイトルホルダーが伸びたことにより、2頭の間にスペースができた。

 横山は迷わずそこにエフフォーリアを誘導し、抜け出しをはかる。「進路をどこに取ろうかと思ったのですが、4コーナーでは狭いところを、よく割ってくれました」と横山。

 そこからが速かった。エフフォーリアは、ほとんど並ぶ間もなくタイトルホルダーを置き去りにし、横山の右ステッキに応えて力強く末脚を伸ばす。

 エフフォーリアは2着のタイトルホルダーを3馬身突き放して優勝。史上19頭目の無敗の皐月賞馬となった。

 これで4戦4勝。そのすべてに騎乗してきた横山にとっても、嬉しいGI初勝利となった。人馬一体となり、互いに高め合って手にしたクラシックの勲章であった。

(文:島田明宏)