【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆追い続ける人馬一体の姿、騎手の存在がはっきり見える

 3200米の距離をどう戦い抜くか、春の天皇賞はもとめられる事柄が多い。スタミナは当然のこと、流れによってはスピードや瞬発力を駆使しなければならないし、何よりも緩いペースでも我慢が利く精神力がそなわっていなければならない。

 また、人馬の呼吸も大きな部分を占めている。レースの動きをどう判断するか、それに合わせてどう馬をコントロールするか。淡々と流れる中、次の局面を予測しながら追い続ける人馬一体の姿、騎手の存在がはっきり見えてくるのも、天皇賞の魅力とも言える。

 昨年に続いて阪神で行われるが、その昨年は前半1000米が59秒8。中盤も平均ペースで、上がり3ハロンが37秒4と持久力がもとめられ、4角を上位2頭は3、4番手で通過していた。勝負どころでは前に位置するものが有利という姿は見えてくる。自ずとそれに向く馬は限られ、それによって有力馬はしぼられてくる。

 阪神大賞典を連覇して挑んでくるディープボンドは、昨年の2着馬。16戦中13戦で手綱を取っている和田竜騎手とのコンビは、数々の実績から頼もしい。有馬記念も2着だったし、GIのタイトルは悲願。ヨーロッパ遠征で苦難を味わった経験を生かし、前走の阪神大賞典では確かな成長をうかがわせた。前が残る馬場の中、上がり3ハロン34秒6の最速をマーク。現役最強のステイヤーを印象づけた。

 これと対決するのが、ひとつ年下のタイトルホルダーだ。昨年の菊花賞馬で、春の天皇賞には一番近い馬だが、右トモの痛みが出て十分な調整がしにくい情況から脱して前走の日経賞では、マークされながらも結果を出すことが出来た。この2頭の駆け引きがこの天皇賞の最大の見どころと言っていい。

 春の天皇賞は、ディープインパクト産駒が3連勝中だが、これ以外にその全兄ブラックタイドを父に持つキタサンブラックの2勝があり、この10年でこの系統から5頭の春の天皇賞馬が出ている。

 そして、それ以外ではステイゴールド産駒が実に4勝もしているのだから、この点は今年も気にしておきたい。

 今年の有力どころでは、まずディープボンドは、父がディープインパクト産駒のダービー馬のキズナ。そしてタイトルホルダーは、父がキングカメハメハ産駒でダービー、皐月賞を勝っていたドゥラメンテ。これまでの流れで言えば、ディープボンドが一歩リードと見ておきたい。

 マークされるタイトルホルダーがどこまで踏ん張れるかだが、これに迫るものとしては、ステイゴールド産駒から見つけると、ゴールドシップを父に持つマカオンドール、オルフェーヴルを父に持つタガノディアマンテの復活あたりか。このステイゴールド系は全部で7頭も出ていて、奥手でスタミナ勝負では根強い。

 ダイヤモンドSで初重賞制覇のテーオーロイヤルは、父がキングカメハメハのリオンディーズ産駒。この系統も渋太い馬が多い。

「春の盾 対決制した 騎手の腕」

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