【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆牡牝それぞれ来春のクラシックが楽しみになる逸材が誕生
 14日から18日まで開催されたロイヤルアスコットには、2歳馬による重賞・準重賞が6鞍組まれていた。これらの勝ち馬の中には、早くも来春のクラシックへ向けて有力視される存在となっている馬もいる。

 例えば、来年の牝馬3冠第1戦のG1英1000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、大手ブックメーカーのパディーパワーが13倍のオッズを提示し、現段階での1番人気に浮上させたのが、ロイヤルアスコット4日目(17日)に行なわれた2歳牝馬によるG3アルバニーS(芝6F)を制したメディテイト(牝2、父ノーネイネヴァー)である。

 叔父にG3クインシー賞(芝1600m)に勝ち、G1クリテリウムインターナショナル(芝1600m)で2着となったジョニーバーンズ、従兄弟にG1ジョーハーシュターフクラシック(芝12F)など2つのG1を制したエクト、同じく従兄弟にG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)勝ち馬モーストインプルーヴドがいるという牝系を背景に持つのがメディテイトだ。

 アルカナ・ドーヴィル8月1歳市場にて36万ユーロ(当時のレートで約4720万円)でクールモアの代理人に購買され、エイダン・オブライエン厩舎に入厩した。

 デビューしたのは今年の4月10日で、カラのメイドン(芝5F)を3.1/4馬身差で制して初戦勝ち。続いて出走したのが、5月15日にネースで行なわれたフィリーズスプリントS(芝6F)で、ここも1.1/4馬身差で制し、重賞初制覇を果たして臨んだのが、17日のG3アルバニーSだった。

 メディテイトはオッズ3.5倍の2番人気で、5月14日にニューマーケットで行なわれたノーヴィス(芝6F)を4.3/4馬身差で制しての参戦だったゴドルフィンのモウジ(牝2、父エクシードアンドエクセル)が、オッズ3倍の1番人気だった。

 好スタートを切ったメディテイトは、序盤から馬群を先導。道中は中団で競馬をしたモウジもゴール前で良く伸びたものの、これに1.3/4馬身差をつけてメディテイトが逃げ切り勝ち。デビューから無敗の3連勝で、2度目の重賞制覇を果した。

 同馬を管理するエイダン・オブライエン師はレース後、9月にカラで行なわれるG1モイグレアスタッドS(芝7F)が、当面の大きな目標になると語っている。

 一方、大手ブックメーカーのコーラルが、来年春のG1英2000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ26倍を提示し2番人気に急浮上させたのが、ロイヤルアスコット最終日のLRチェシャムS(芝7F)を制したホロウェイボーイ(牡2、ユリシーズ)である。

 近年では、11年の勝ち馬メイビーが、その後G1モイグレアスタッドS(芝7F)を制し同年の最優秀2歳牝馬に。16年の勝ち馬チャーチルが、その後G1デューハーストS(芝7F)などを制し最優秀2歳牡馬になったばかりでなく、翌春には英愛2000ギニーを連覇。19年の勝ち馬ピナトゥボも、その後G1デューハーストSなどを制し最優秀2歳牡馬になるなど、「出世レース」と言われているのがチェシャムSである。

 今年のチェシャムSで、オッズ2.375倍の1番人気に推されていたのは、21年にG1英オークス(芝12F6y)、G1愛オークス(芝12F)、G1ヨークシャーオークス(芝11F188y)を3連勝した、日本産ディープインパクト産駒スノーフォールの半弟にあたる、アルフレッドマニングス(牡2、父ドゥバウィ)だった。姉と同じエイダン・オブライエン厩舎からデビュー。5月13日にレパーズタウンで行なわれたメイドン(芝7F)を4.1/2馬身差で制し、初戦勝ちを果たしての参戦だった。

 好位で競馬をしたアルフレッドマニングスは、手応え充分に見えたのが、残り500m付近から鞍上R・ムーアが追い出すと反応が鈍く、6着に敗退した。

 これとは対照的に、道中は13頭立ての最後方の位置に、残り2Fからスパートをかけると、鮮やかな末脚を繰り出してライバルをごぼう抜きにし、1馬身差で勝利を収めたのがホロウェイボーイだった。

 チェヴァリーパークスタッドの生産馬で、3代母がG1チェヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬ゲイギャランタという血統背景を持つのがホロウェイボーイだ。タタソールズ10月1歳市場のブック2にて、同馬を現在管理するカール・バーク調教師に6万ギニー(当時のレートで約997万円)で購買されている。

 驚くべきは、ホロウェイボーイにとって、チェシャムSがデビュー戦だったことである。すなわち同馬は、初出走にして経験馬を相手にいきなり準重賞制覇を果したのだ。ロイヤルアスコットの特別をデビュー戦にして制したのは、96年のLRウィンザーキャッスルS(芝5F)勝ち馬ダズル以来、26年ぶりのことだった。

 2歳牡馬戦線におけるホロウェイボーイ、2歳牝馬戦線におけるメディテイトが、今後どのようなパフォーマンスを見せるか、ぜひフォローしていきたいと思う。

(文=合田直弘)

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