【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆見るべき点をつかんでおきたい

 今週の2つのGIII戦はどちらもハンデ戦、波乱の要素を前提に考えなくてはならない。一番人気が大苦戦する中、ではどんなケースなら大丈夫そうかを判定するのも大事なことでこの10年の記録を調べてみた。

 2つの重賞のうちラジオNIKKEI賞は、3歳馬の重賞で唯一のハンデ戦で、10年で6番人気以下が3着以内に15頭も入っている。だが勝ち馬に限ると10頭中8頭が5番人気以内で、驚くほどでもない。

 その中で6年前、4.0倍の1番人気で勝ったゼーヴィントは、このレースが6戦目。5月生まれのディープインパクト産駒の牡馬で、成長を促しながら調整されていて年明けの3月、4月に中山で連勝、5月の東京のプリンシパルSでダービー出走にかけてみたが、スタートで後手を引き、直線内ラチ沿いをレース最速で追い込み3着、勝てなくともやっといい方向に向っていた。

 そして迎えたラジオNIKKEI賞は、1番枠。戸崎騎手は、54キロのハンデならチャンスは大きいと感じていた。スタートを決め、枠なりで先団直後のインでじっくり脚をため、直線入口で馬込みを捌くと残り200米あたりからスパッと弾けて重賞初制覇を成し遂げていた。戸崎騎手は、自分のリズムで手応えも良かった。素質を感じていた馬で勝たなくてはいけないレースだったと語っていたが、上がり馬の予感があったことが大きな力になっていた。

 3歳春の時点で、どんな思いで戦っていたか、その多くが成長を促しながら馬なりでゆっくり育ててきたこと。そして勝てなくとも、その馬なりの見所をつかんでここに登場しているなど、好走できた馬には共通するものが見えている。そして、できれば秋の飛躍へつながればの期待を持っている。能力接近で大混戦の言葉に惑わされることなく、見るべき点をつかんでおきたい。

 今年の顔ぶれの中では、春のクラシック戦線で見所のあったボーンディスウェイをまず挙げておきたい。真っ向勝負に出た皐月賞は馬場の荒れた内目を走らされて大敗したが、弥生賞では3着、のちのダービーで3着に入ったアスクビクターモア、ダービー優勝のドウデュースに次ぐ成績を挙げている。デビューが福島で2着、2戦目が3着とコース実績もあり、ハーツクライ産駒の成長力にも魅力がある。

 ハンデ56キロのベジャールは3月の毎日杯で2着。大型馬で跳びが大きいが不器用さを感じさせないスピードと器用さを兼ね備えている。賞金面の不安もあったが、じっくり成長を促し、秋を見すえて3ヶ月半ぶりにここに出走してきた。二の脚が速いので、小回りでも有利に戦える。

 牝馬30年ぶりの優勝をめざすソネットフレーズは、昨秋のデイリー杯2歳Sで、GI戦線で上位に健闘しているセリフォスにクビ差の2着と走っていて、脚元がすっきりしてくれば走ってもいい馬だと思っている。半年ぶりを叩かれて大幅に良くなっていると見たい。

「短波なら かならず届く 目標に」

【関連記事】