【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆例からレースの持つ実像に迫る

 これからダート界に名を残していこうという3歳馬の重賞と、力関係が見えてきている古馬の重賞では、その持つ意味が違う。レパードSは、勝つことで今後が約束されるし、エルムSは、歴戦の勇士が新たなタイトルをめざす戦いであり、これからを相手に初重賞制覇を狙うレースでもある。過去の例からレースの持つ実像迫ってみたい。

 今から10年前にレパードSを勝ったホッコータルマエは、ここからステップアップした典型となる一頭だ。7戦3勝でのぞんだ交流GIジャパンダートダービーでは、好位の内でもまれて十分な走りができず5着。

 これを踏まえて、ここでは外めの12番枠からスムーズな先行策で能力を引き出す作戦で4、5番手につけ、直線に向くとあっという間に先頭に立つ正攻法で初重賞制覇を達成していた。手ごたえが良すぎて早く先頭に立ったが、まだ余裕があったと幸騎手は語っていたが、この戦い方がその後のホッコータルマエを暗示していたと言っていい。「飛躍の秋へ夢ふくらむ」と書かれていたが、その後さらにパワーアップし、GIと交流GIあわせて10勝という記録を打ち立てたきっかけが、レパードSの勝利だったと言っていい。

 一方のエルムSは、ある程度走り込んできた古馬たちの重賞で、これまで1〜3番人気が揃って連対を外したのが、札幌で行われた近7年でわずか1回だけ、大波乱は少ない。

 その中で一番荒れたのが6年前、7番人気のリッカルドが重賞初挑戦で勝利したとき。12頭立てで7頭の重賞ウィナーがいる中、力だめしと出走していた。

 前走大沼Sをレコード勝ちした1番人気モンドクラッセが逃げる中、リッカルドは5分のスタートを切りながらも周りが速く、道中は中団。3コーナー手前からロングスパートし外からじっくり詰め寄り、ジワジワ追い上げて先行勢をクビ差交わしてゴールしていた。

「びっくりしたよ」と黒岩調教師が語る中、初コンビで見事にエスコートした黛弘人騎手は、「競馬が上手ですし、うまく持ち味を生かしました」と会心の表情を見せていた。馬の気に乗るという騎乗が出来たことによる勝利だった。

 こう見てくると、レパードSでは、3戦3勝でのぞんだジャパンダートダービーでは、ダッシュがつかず、不良馬場で前が残る流れの中、0秒3差の4着まで追い上げたハピに注目したい。成長途上で9ハロンでは負けていない強味がある。

 それと、前につけて押し切るイメージから、新潟の1800米に合うタイセイドレフォン、切れるタイプではなく、ハナに立って長くいい脚を使うラブパイローも上位争いに加えたい。

 一方のエルムSでは、大沼Sで2、3番手に控えてしっかり脚を使えたアイオライト、中央再転入後3連勝し心身とも大人になり体力のついてきたブラッティーキッドを、伏兵として取り上げてみたい。

「豪快に 決めてこの秋 席巻だ」

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