【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・9/19 セントライト記念(GII・中山・芝2200m)

 ガイアフォースがアスクビクターモアを一騎打ちの末に破り、初の重賞タイトルを獲得しました。これで5戦3勝(2着2回)。骨折のため昨年秋から今年春にかけて半年間休養し、出世が遅れてしまったのですが、3歳夏を越してようやく一線級に追いつきました。

 新馬戦でドウデュース(日本ダービー)にクビ差まで迫り、フェーングロッテン(ラジオNIKKEI賞)に3馬身先着と、もともとハイレベルな能力を示した馬で、前走の国東特別は小倉芝2000mで1分56秒8というのコースレコードを樹立しました。

 3歳時に1分56秒台を記録した馬は、過去4頭すべてGI馬となっています(ミッキークイーン、クイーンズリング、キセキ、グローリーヴェイズ)。

 父キタサンブラックはイクイノックス(東京スポーツ杯2歳S、皐月賞-2着、日本ダービー-2着)の父で、現役時代に3000m以上で3戦全勝(天皇賞・春2回、菊花賞)の成績を残しました。

 また、2代母の父ダンスインザダークは、自身が菊花賞を制しただけでなく、種牡馬としても3頭の菊花賞馬を出しました。3000mへの距離延長がマイナスになることはないでしょう。

◆今週の血統Tips

 9月18日、中京新馬戦(芝2000m)を勝ち上がったハーツコンチェルトは、派手な勝ちっぷりで注目を集めています。2着馬との着差(8馬身)、上がり2位とのタイム差(1秒6)は、相手関係に左右されやすい指標なのでとりあえず置くとして、評価したいのは後半1000mのタイムです。

 芝中距離の新馬戦は、どうしてもスローペースになりやすく、全体時計の比較に意味がないことは周知のとおりです。しかし、後半1000mのタイムは、序盤のペースに影響されにくく、総合能力を比較的正確に評価することができます。

 もちろん、ペースの影響をまったく受けないわけではなく、馬場コンディションや仕掛けのタイミングもレースによって違います。ラスト1000mが平凡だったからといって能力がない、というわけではありません。ただ、速いタイムで駆け抜けた馬は、それなりの能力の持ち主であることは過去のレースが証明しており、能力検定として信頼できる指標であると、個人的に昔から主張しています。

 ハーツコンチェルトの新馬戦の後半1000mは58秒4。これは芝2000mの新馬戦史上、歴代3位タイに相当する優秀なものです。過去のベスト5は以下のとおり。

1位 ワグネリアン    57秒7(17年中京)=ダービー馬
2位 ディープインパクト 57秒8(04年阪神)=三冠を含めGIを7勝
3位 ハーツコンチェルト 58秒4(22年中京)
3位 カミノタサハラ   58秒4(12年東京)=弥生賞
3位 ロジキング     58秒4(12年中山)=4戦1勝

 ロジキングの新馬戦は、前半1000mが67秒7という超スローペースで、14秒台のラップが連続したところから急激にペースアップした、という特殊なレースでした。

 ハーツコンチェルトの前半1000mは63秒2と、上位5傑のなかで最速です。同日の3Rで2歳芝1200mのレコードが出たように、高速馬場であったのは事実ですが、それを差し引いても非凡な内容ではなかったかと思います。今後が楽しみです。

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