【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆中山コースを初めて走った馬は近10年でも8頭だけ

 一番人気の連対率の高い神戸新聞杯は、この10年で7勝、2着1回と圧倒的なのに対して、オールカマーは2勝、2着2回で、中山の2200米をどうしても意識してしまう。特殊なコースで、かつてのマツリダゴッホのようにコース実績のあるものをさがすのがセオリーだろう。ところが今年はレースをさらに難しくしているのが、5頭の中山初コース組だ。

 しかも、その中に、2年前の無敗の3冠牝馬デアリングタクトがいることが、重要なポイントで、これをどう考えるか。オールカマーでの牝馬の優勝は、この10年で4頭いて2着も4回だから、斤量が2キロ減でのぞめる有利さは否めない。

 54キロで走るデアリングタクトにとっての課題は、昨年4月の香港クイーンエリザベス2世C3着後に右前肢繋靭帯炎が判明し、長期休養を余儀なくされていたことで、今年5月のヴィクトリアマイルで復帰して6着、続く前走の宝塚記念3着で復調の兆しをみせ、そして今回のレースだから、完全復活を期待していいだろう。

 オールカマーで中山コースを初めて走った馬は、この10年で8頭だけ。今年のように5頭もいるのは、極めてめずらしい。この中で一番成績が良かったのは、2013年のメイショウナルトの2着で、あとは4着馬が2頭いただけだった。そのメイショウナルトは気性が激しい牡馬で、直すために去勢されてから成績が安定し、5歳の夏、小倉記念2000米を稍重なのに1分57秒1のレコードで勝っていた。

 ハーツクライ産駒らしい成長力を見せたと言っていい。今年のデアリングタクトは、これまで様々なコースで勝利しており、戦ったレースを振り返っても持久力のいる中山外回りは、かえって戦いやすいように思えてならない。オールカマーに新しい歴史を刻み、この秋のGI戦で名牝の蹄跡を残してほしい。

 あとは通常の考え方で、特殊なコースだけにここで好走歴のあるもの、夏のローカル場で成長を感じさせたもの、重賞で連対実績のあったものなどをピックアップしたい。

 まず4歳馬ソーヴァリアント。骨折のため、昨年12月のチャレンジC1着以来だが、2番手からメンバー最速の末脚で3馬身半もはなした勝ち方に、中山2200米で1勝目を挙げ、セントライト記念2着の実績と引きつけるものがある。次に5歳馬ヴェルトライゼンデを。三冠馬コントレイルと戦って、皐月賞8着、ダービー3着、菊花賞7着だったが、中山はホープフルSとAJC杯の2着があり、適性は高い。

 もう一頭は、このヴェルトライゼンデと2年前の神戸新聞杯でわずかクビ差の3着だったロバートソンキーを取り上げておきたい。この時デビュー4戦目で重賞初挑戦だった。体質が強くなるのを待ちながらのレースで、5歳の秋でキャリアはまだ10戦だけ。前走勝ってオープン入りしたばかり。コントレイル世代2頭にも注目する。

「オールカマー そうは言っても ままならず」

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