【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆種牡馬ミッキーアイルの天賦の才

 秋のGIシリーズの開幕を告げるスプリンターズSは、昨年の1〜3着馬が不在で、多彩な顔ぶれになった。短距離界に名乗りを上げる3歳馬も加わり、頂点をめざす戦いを面白くしている。このうち6頭が2年連続ここに登場しているが、その中でメイケイエールの4着が一番成績がいい。

 そのメイケイエールは今年に入って4戦3勝、セントウルSで重賞は6勝目、好位から抜け出すスキのない勝ち方で2馬身半差をつけ、レコードをマーク。4歳を迎えて成長してきた。春の高松宮記念は5着に終わったが、不利な17番枠から0秒1差で走っており、課題だった自分との戦いに決着をつけたと見たい。5度目のGI戦で悲願のタイトルをと注目している。

 このメイケイエールは、ミッキーアイルの初年度産駒で父の名を上げているが、今年は一年下の3歳馬ナムラクレアがこれに続いている。こちらは、阪神JF5着、桜花賞3着以外はスプリント戦を走っており、函館スプリントSを2馬身半差で勝ち、北九州記念は前にカベが作れず不完全燃焼の3着に終わったが、古馬にも通用する強さを見せてサマースプリントチャンピオンに輝いた。鋭い切れ味を武器に53キロの斤量で侮れない。

 2年連続して産駒をスプリントGI戦に送り込んだミッキーアイルは、ディープインパクトの血を受ける種牡馬たちの中でも、稀有な存在と言える。

 現役時代は、NHKマイルCやマイルCSを勝っていて、2016年にはJRA最優秀短距離馬に選ばれており、マイル重賞のタイトルが多かった。スピードに乗ってから刻むラップはスプリンターそのものと言わせていて、高松宮記念が3着と2着、スプリンターズSが4着と2着と走っていた。

 特に5歳で挑んだ2年目のスプリンターズSは、ハナに立ち、二枚腰で勝ち馬レッドファルクスと同タイムのアタマ差とあとひと息だった。自分のかたちで競馬ができたときの強さは、産駒たちに受け継がれていて、今のところ産駒は多くないが、スプリント界での存在は、今後も含めて目立っていけると期待していいと思う。

 一方で、今年もロードカナロア産駒の出走があること、残り少ないタートルボウル、ヨハネスブルグなど輸入種牡馬の血を引くものなど出てくるが、ペースが流れてくれそうなことと、この開催の最終日で時計のかかる馬場かもしれないので、昨年の京阪杯で10番人気で勝っているエイティーンガールの食い込みを考えておきたい。

 前走のキーンランドC6着は、スタートでつまずいて位置取りが後方になった上に、遅いペースで大外を回る不利が重なってのもの。ひと叩きして力を出せる状況にある。

 そしてさらに、中山の急坂の方がチャンスのありそうなタートルボウル産駒2頭、ヴェントヴォーチェ、タイセイビジョンの食い込みを狙ってみたい。

「待ちわびた 勝ちどき高く 秋空に」

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